2021 Fiscal Year Research-status Report
マイネルト基底核損傷により生じる感覚皮質の可塑的変化と運動療法の効果検証
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21K17497
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Research Institution | Tsukuba International University |
Principal Investigator |
出澤 真乃介 つくば国際大学, 医療保健学部, 助手(移行) (60899699)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイネルト基底核 / 感覚過敏 / アセチルコリン / 可塑性 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病やアルツハイマー病における感覚過敏や痛みなどの感覚異常は疾患に関連して生じることが明らかになりつつある。しかしその原因については未だに解明されていない。これまで実施してきた研究で、大脳皮質へアセチルコリンを放出する神経核であるマイネルト基底核(NBM)の損傷が、一次体性感覚皮質(S1)の神経応答の強さと範囲を異常に増大させ、その結果、感覚過敏様の行動が生じることが明らかとなっている。そこで本研究課題はNBM損傷によるS1の神経応答変化の背景に潜むメカニズムを探るため、NBM損傷ラットを用いて、S1における機能および構造的変化を電気生理学計測、膜電位イメージング、免疫組織化学等の手法を用いて明らかにし、運動療法がどのような効果をもたらすのかを検証することを目的とする。本年度はNBM損傷ラットのS1における機能的変化を明らかにするために、麻酔下動物のS1において体性感覚地図を作成するための実験を行った。その結果、従来のNBM損傷作成方法では、主に後肢刺激時の感覚応答の計測が困難なことが明らかとなったため、別の方法で従来と同様のNBM損傷を生じる動物の作成を試行し成功した。現在はこの新たな手法で作成したNBM損傷動物において体性感覚地図を同定する実験を進めている。また、構造的変化を明らかにするためのゴルジ染色を行い、解析を進めている。運動療法の効果検証のために行うトレッドミル歩行についても現在予備実験を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では本年度中にNBM損傷による感覚皮質の機能的変化についての実験は完了する予定であったが、NBM損傷の作成方法を変更する必要が生じたため、予定通りに進めることができなかった。しかしその一方で、次年度に実施予定であった構造的変化を検証するための組織学実験とトレッドミル歩行の予備実験は前倒しで実施できた。したがって、全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き膜電位イメージング法などによる感覚応答の計測を進め、応答の範囲や刺激部位ごとに生じる応答範囲の重なりなどについて解析を進めていく。同時にゴルジ染色を実施した感覚皮質において、樹状突起および軸索の長さや細胞体の大きさ等についての解析を進める計画である。トレッドミルを用いた運動療法についても条件設定について詳細を確定していく。
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Causes of Carryover |
想定していたよりも実験消耗品の消耗が少なかったことや、学会等がオンライン開催になり旅費が生じなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は予定している実験の消耗品購入等に充てる。
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Research Products
(4 results)