2023 Fiscal Year Research-status Report
経頭蓋ランダムノイズ刺激が動的到達運動に及ぼす影響
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21K17500
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
岡部 拓大 東京家政大学, 健康科学部, 准教授 (90836719)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 動的到達運動 / 難易度 / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
リハビリテーションにおいて目標物に対する動的到達運動トレーニングの方法論は確立されていない.本年度は,動的目標物に対するリーチング運動の難易度と学習効果について,若年者と高齢者とで比較検証をおこない,経頭蓋ランダムノイズ刺激(transcranial random noise stimulation: tRNS)による動的到達運動課題への効果検証するための基盤的知見を得た. 実験では昨年度に加えて健常若年者の被検者を追加し,さらに高齢者の被検者のデータを採取した.研究デザインには前後比較デザインを用い,テストセッションとして課題の難易度を調整した事前セッションと,般化セッションである事後セッションを実施した.その結果,事前テストセッションでは課題の累積成功数は若年者では早期に頭打ちになっていたが,高齢者は達しておらず,高齢者は若年者と比較してパフォーマンスが低い傾向であった.また,事後テストセッションでは若年者では課題の累積成功数が時系列的に増加していたが,高齢者では増加しなかった.本研究の結果,高齢者では難易度調整(目標物のスピードや当たり判定の調整)をおこない,高齢者に適した難易度を検討する必要があることが示唆された.現在,高齢者にとって適切な難易度を成功履歴から自動調整するアルゴリズムを検証中である.今年度までに得られた知見を基盤として,来年度はtRNSが動的到達課題の学習に及ぼす影響を検証する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動的到達運動に関する課題を構築するにあたって,当初考案していた研究プロトコルでは高齢者の被検者には不適当であったため,研究プロトコルの修正をおこなっており,高齢者に最適なプログラムの考案と修正に時間を要した.今年度実施できなかったtRNSによる効果検証を次年度で実施し,計画的を履行できるよう進めていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,本研究プログラムでのVRシステムに係る特許出願申請準備を進めながら,研究協力機関とも連携し,高齢者に対する実験を実施することができた.また,VRを用いた研修等やデモンストレーションにも参加し,実験に関する技術の向上やユーザーの意見聴取を図った.今年度,一部ではあるが実験を実施してきたノウハウを活かし,次年度は円滑に実験を実施し,計画的に研究課題に取り組んでいきたい.
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Causes of Carryover |
今年度は課題の再構築に時間を要し,tRNSを用いた実験まで実施することが出来なかった.そのため,論文作成や発表までには至らなかった.次年度は,今年度実施できなかった部分の実験を合わせて行っていき,学会発表や論文投稿をする予定である.また,次年度からは今年度の実験結果を踏まえた方法で行う予定であり,tRNSによる協調運動への効果など,実験の際の備品及び消耗費についても併せて使用していく予定である.
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