2023 Fiscal Year Research-status Report
上肢の筋の構造から高齢者の動作遂行能力を明らかにする
| Project/Area Number |
21K17504
|
|---|
| Research Institution | Hiroshima Cosmopolitan University |
|---|
Principal Investigator |
石倉 英樹 広島都市学園大学, 健康科学部, 講師 (60781705)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
| Keywords | サルコペニア / フレイル / 骨格筋 / 握力 / 超音波 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、超音波画像診断装置と筋電図解析装置を用いた骨格筋の質的な変化について評価を行い、サルコペニアとの関連性を見出すことで、サルコペニア・フレイルの予防に貢献することである。
2023年度に実施した内容は、前年度に得られた評価結果から、課題として評価対象部位を四肢の複数部位について評価を行うとともに、若年者でも起こりうる肢体不自由とサルコペニアの関係性についての調査も行った。
肢体不自由者における結果は、若年者からも動作遂行能力と超音波画像における骨格筋形態の関連が見つかった。特に上肢の骨格筋では、手指の把握動作に問題がある群で筋表層と皮下組織の境界面が不明瞭となり、筋輝度の上昇から筋内の結合組織や脂肪組織の増加など質的変化の可能性が示唆された。また、下肢の移動機能が低くなるほど筋厚が減少していく傾向も見られた。これらの肢体不自由者の調査結果について、学会発表として成果報告を行った。
高齢者を対象とした調査では、施設に入所している高齢者を含めて調査を開始した。日常生活活動全般にわたる動作遂行能力と下腿の筋厚に正の相関を認めた。下肢の筋厚は、直接的に関連のある移動能力のみだけでなく、上肢の使用や食事とも関連性が示唆された。また、施設に入所している高齢者においては、上肢に左右差が見られることが多く、脳血管障害などによる片側に偏った運動機能障害との関連性が示唆された。
今後は、これまでに行った調査内容を整理し成果発表をしていくとともに、高齢者や肢体不自由者を対象に、動作遂行を阻害している因子について検討する。また、特に要介護状態にある施設入所高齢者に対し、握力と骨格筋の形態について解析を行い、サルコペニアや動作遂行能力との関係性についても検討していく。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究遂行に関して、前年度に行った調査から、新たなる課題として評価部位や対象を広げて調査を行ったのに加えて、2023年度に目標としていた高齢者の評価も進めていくことができた。
しかし2023年度は、目標としていた高齢者の評価のみでなく、前年度に新たに検討課題として挙がった若年の肢体不自由者に対する検討も加えて行っており、得られたデータをまとめるのに時間を要している。これまでの研究成果については、まとめたものから学会での発表を行っているが、まだ高齢者に関して得られたデータをまとめきれておらず、論文としての報告まで行えていない。今後引き続き、研究で得られた成果の学会発表での公表や、論文の執筆を進めていく。
|
| Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究計画では、引き続き施設に入所している高齢者を対象に、骨格筋の形態変化と動作遂行能力について調査を行っていく。また、2023年度に調査したデータの解析を継続し、学会発表や論文として公表を行っていく。
|
| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究成果を公表していくにあたり、データの解析が続けており、論文執筆が途中となっている点や、発表を行った学会が国内であった点が挙げられる。そのため、論文執筆に際しての校正に際しての費用、投稿費用や旅費、学会発表に使用している費用が少なくなり、未使用額として生じた。これらの未使用額については、翌年度に論文投稿や学会発表などの費用として使用していく予定である。
|
