2023 Fiscal Year Research-status Report
Motor-linked implicit and explicit learning through step by step tasks in children with Autistic Spectrum Disorders
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21K17527
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐野 美沙子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (00710815)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 運動学習 / スモールステップ課題 / 潜在性学習・顕在性学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年4月に研究協力機関(心身障害児総合医療療育センター)での倫理申請承認を得た。4月に入る頃から同協力機関の研究協力者(作業療法士:奥村久美先生)にリクルートのお願いをし、8月~3月にかけて12名の被験児・療育者に対してデータ収集を実施した。具体的には、8月に3回(3日間、1日、3日間)、9月に2回(1日、1日)、10月に1回(1日)、2月に1回(2日間)にて同研究機関に訪問した。各被験児(7~12歳)に対して、ADOS-2とお手玉課題を実施するとともに、被験者にAQ、SRS、DCDQの質問紙を実施した。被験児の年齢や集中力を考慮し、原則2日か、もしくは、1日の午前中・午後に分けて実施した。参加いただいた被験児・療育者と主治医に対して、ADOS-2、AQ、SRSの結果について報告書を作成し(主治医には数値なども含めた結果、療育者には全体を通しての傾向や支援に関する簡単なアドバイスを含むもの)、診療の際にお渡ししてもらうように配慮している。現在は、得られたデータの解析を進めている。動画については、Kinovia(動画解析のフリーソフト)を用いて、お手玉課題の様子について運動要素ごとに①②左右の上肢(手部)と③鼻をプロットし、軌跡を数値化している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍においては医療機関でのリクルートや実施のために研究遂行に遅れが生じた。また、研究協力機関でも倫理申請が必要であり、そちらの倫理申請承認に時間を要した影響もあり、研究の実際の開始時期が遅くなってしまった。しかしながら、倫理申請承認を待ちつつも協力機関の研究協力者にリクルートを進めていただき、承認が下り次第、順次日程調整を進めることができ、2023年8月からデータ収集を開始できた。遠方でのデータ収集となるため日程調整の難しさがあったが、何とか12名のデータ収集を終えることができた。現在は、データ解析・分析を進めている。1年の延長申請をすることとなったが、次年度中には研究結果をまとめて学会発表・論文発表が可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析について:動画データについて、運動要素ごと(①最初の全体運動、②~⑥個別の運動×5、⑦最後の全体運動)に正面・側面からの動画を撮影している。Kinoviaを用い、それぞれの運動要素が5回成功した箇所について切り取り、①右上肢手部、②左上肢手部、③鼻、の3箇所をプロットし運動の軌跡を数値化する。また①~⑦について30秒間中の成功回数・エラー回数をチェックし、成功率を算出する。②~⑥の個別の運動の達成度と⑦の全体運動の達成度の相関について分析する。これらの相違と、ADOS-2の自閉特性との関連を分析する。 また、②~⑦について顕在性要素と潜在性要素について分けて分析し、まだ探索的な段階ではあるが、その特徴について考察したいと考えている。 個別運動達成度と全体運動達成度の関連については、ADOS-2の全体のみでなく、下位項目(意思伝達、相互的対人関係、想像力、常同行動と限局された興味)、さらには、SRS(全体、社会的気づき、社会的認知、社会的コミュニケーション、社会的動機付け、興味の限局と反復行動)AQ(全体、社会的スキル、注意の切り替え、細部への注意、コミュニケーション、想像力)との関連についても分析する。ASD児の運動獲得特性と認知特性とに関連があるのではないかと予測する。 発表:結果を国際雑誌に論文投稿する。また、同時に学会発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
倫理申請に時間を要したことに加え、コロナ禍であったために被験者のリクルートと実際の課題実施までに時間を要し、研究機関の延長を申請した。そのため、次年度使用額が生じた。 最終年度には、研究協力施設(心身障害児総合医療療育センター、国立障害者リハビリテーションセンター)への出張(研究の考察・情報共有)と、研究結果の国際雑誌投稿のための校閲費・投稿費、また、国際学会発表のために研究費が必要となる。
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