2021 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋性疼痛に対するミラーセラピーを用いた新たな治療戦略開発のための実験的研究
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21K17530
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森内 剛史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (40814124)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋性疼痛 / ミラーセラピー / 経頭蓋磁気刺激 / 運動誘発電位 / 高張食塩水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,急性痛患者における中枢神経系に対するリハビリテーション介入の開発に向けた研究として,実験的な急性痛状態にある健常成人を対象に,ミラーセラピーによる効果を皮質脊髄路の興奮性や主観的な痛みの程度を指標に検証し,その後,実際の急性痛患者を対象としたミラーセラピーの臨床試験を縦断的に検討することである. 令和3年度では,実験的な急性痛状態にある健常成人の皮質脊髄路の興奮性が安静時と比較し有意に低下するものに対し,ミラーセラピーの介入により,皮質脊髄路の興奮性や痛みの程度にどのような違いが生じるか明らかにする研究に取り組み,プレ実験ならびに実験プロトコルの検討を実施した.実験的な疼痛の誘発には,高張食塩水(5.8% NaCl,0.2ml)を用い,右手の第一背側骨間筋(FDI)に注入した.その時の皮質脊髄路の興奮性を経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation;TMS)による運動誘発電位(Motor Evoked Potential;MEP)を指標に確認したところ,先行研究と同様安静時と比較して皮質脊髄路の興奮性低下を確認することができた. プレ実験時に対象者間でミラーセラピー時の手指の動きとTMSの刺激のタイミングがばらついてしまう問題点が生じた.この問題点に対して,手指の動きを検出するために赤外線センサーを用いたオリジナルのスイッチを作成し,手指の動きとTMSのタイミングを同期するために,LabView(National instrument 社)を用いて制御システムを作成した. 現在までに急性痛状態でミラーセラピーを実施する群と,痛みのみ誘発したコントロール群それぞれ5名ずつデータを取得しているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,実験的な急性痛状態にある健常成人を対象に,ミラーセラピーによる効果を皮質脊髄路の興奮性と主観的な痛みの程度を検証する本実験まで行う予定であったが,新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点から,積極的に実験を進めることができない時期があった.そのためプレ実験や実験プロトコルの再検討を行い,本実験に開始する段階までにしか至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,2021年度に準備をした研究プロトコルに則り,本実験を計画的に進めていき,急性痛に対するミラーセラピーの効果が皮質脊髄路の興奮性ならびに痛みの程度にどのように影響するかを検討し,学会報告,論文執筆,投稿まで実施していきたいと考える.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により出張や実験に制限があり,次年度使用額が生じた.次年度は実験の被験者に対する謝金や実験系に必要な消耗品などを早期に購入し,実験を計画的に進めていく予定である.
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