2023 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経損傷後の神経修復と機能回復の分子基盤解析及びその病態マーカーの探索
Project/Area Number |
21K17539
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
草川 裕也 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (40756392)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 末梢神経 / SCG10 / 反復運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、挫滅末梢神経組織に発現する骨形成タンパク質とそのアンタゴニストに注目して、末梢神経修復と身体機能回復に及ぼす影響および神経損傷後の運動負荷がそれらの産生と身体機能回復に及ぼす影響を明らかにすることを目的としていた。しかし、昨年度のDNAマイクロアレイ分析の結果を受けて、今年度は、細胞体から軸索輸送される微小管制御タンパク質Superior Cervical Ganglion 10(SCG10)に注目して研究を実施した。 これまでの実験同様、右正中神経挫滅モデルラットを、運動(右前肢による餌への前方リーチ、把持反復運動)実施群と非実施群に無作為割付し、握力、触覚閾値、SCG10発現量を評価、比較した。握力は二群間に有意差が認められなかったが、触覚閾値は挫滅後早期において運動実施群の有意な改善を認めた。また、SCG10の発現動態の変化は、これまでの報告と同様の結果で、二群ともに挫滅後7日が最も多く、その後減少する傾向を認めた。しかし、挫滅後14日においては、運動実施群のSCG10発現量が有意に多かった。SCG10は、感覚軸索再生のマーカーと言われているため、発現量が多い運動実施群において触覚閾値の有意な改善が認められたと考えられた。末梢神経挫滅モデルにおいて、患肢の反復運動により触覚回復が促進されたため、今後はそのメカニズムを解析する予定である。 加えて、本研究では、末梢神経組織の修復、運動療法の治療効果を反映する病態マーカーの探索を目的として、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)の血中濃度変化を解析した。正中神経挫滅モデルラットにおいて、運動実施群と非実施群の間に差は認められなかったが、挫滅後に血中NfL濃度が上昇する傾向が認められた。今後は、より高感度の測定器を使用して、血中濃度変化を解析する予定である。
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