2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating pathology and treatment mechanisms of stuttering from the viewpoint of attentional function through brain resting-state functional connectivity
Project/Area Number |
21K17542
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
灰谷 知純 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 流動研究員 (90804500)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 吃音 / 安静時脳機能結合性 / MRI / 測定バイアス / 認知行動療法 / マインドフルネス / メタ解析 / 系統的レビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では、脳科学研究戦略推進プログラム (Strategic Research Program for Brain Sciences: SRPBS) で公開されている健常群のデータを用いることで、吃音のある成人に特徴的な安静時脳機能結合性を調べる予定であった(研究1)。しかし、統計的な比較手法について調べる中で、MRI測定の撮像パラメータを同一にしたとしても、装置による測定バイアスが存在することが明らかとなり、このバイアスの補正のために、研究実施機関においても30名ほどの健常群のデータ収集を行う必要が生じた。そのため、今年度は、吃音群に対するデータ収集を継続するのと同時に(新規取得データは13名分で、2021年度以前も含め累計で104名分のデータを収集)、吃音群と年齢・性別を合わせた健常群のデータ27名分を取得し(累計では29名分のデータを収集)、SRPBSデータセットとの比較を行うための準備を行った。このサンプルサイズは、吃音のある成人を対象とした安静時脳の先行研究と比べて極めて多く、十分な学術的価値を有するものである。 また、当初は、研究実施機関に併設されている病院の外来受診者を主な対象とし、注意の変化を焦点の1つとして含めた治療の前後、及び治療中の安静時脳機能結合性の変化を調べることで、研究1で特定された機能的結合性の妥当性を確認する予定であった。しかし、病院の外来受診者に対する治療の内容は個別性が極めて高く、注意の変化以外の様々な要因が交絡してしまうことから、研究のためには、注意の変化を目的に含める臨床的な介入手法を統一的に行う必要があった。注意の変化を焦点に含める吃音に対する治療法としては、認知行動療法、マインドフルネスといったものなどが挙げられ、今年度は吃音のある成人に対するこれらの介入法のレビューとメタ解析を行うことで、実施すべき介入法について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
統制群データの取得や介入法の文献レビューとメタ解析など、当初の予定に含めていなかった内容に主に取り組んだことで、当初の研究実施計画からは遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度からは研究代表者の所属機関が変更し、勤務日や前所属機関との物理的距離などから、新たに研究1のMRI測定を行うことが困難となった。今後は、吃音のある成人104名と健常群29名との間で安静時脳機能結合性の比較を行うとともに、統計的な補正を行った上で、吃音のある成人のデータとSRPBSデータセットとの比較を行うことで、吃音のある成人を特徴づける安静時脳ネットワークを明らかにする予定である。さらに、吃音のある成人における安静時脳機能結合性と、吃音症状や心理的困難との間の関連を明らかにすることを目指す。これらにより、注意の機能と吃音の病態との間の関連を明らかにすることができる可能性がある。
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Causes of Carryover |
第一に、COVID-19の影響により、参加する予定の学術集会・研究会等が全てオンライン開催となったため、旅費に大幅な余りが生じた。また、データの整理等に人件費が発生する予定であったが、既に一定程度データの整理が行われていることがわかり、支出する必要がなくなった。さらに、本研究課題は、所属機関で行われている研究課題「吃音者における白質の異方性および接続性に関する研究」の一部であり、謝金を科学研究費ではなく所属機関の運営費から支払ったため、支出がなくなった。 次年度以降は、大量の脳データの解析をより効率的に行うために、高性能のデスクトップPC (Mac Pro) や、解析ソフトウェア等を購入する予定である。
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