2021 Fiscal Year Research-status Report
筋受動的スティフネス増加のトレーニング法の確立:新たな運動パフォーマンス改善法
Project/Area Number |
21K17578
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
安藤 良介 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (10804792)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 安静時弾性 / 筋スティフネス / 超音波エラストグラフィ / ドロップジャンプ / 機械的ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、安静時弾性を増加させる介入法を確立するための基盤を創出することであった。今年度は、筋長の変化に依存した安静時弾性が爆発的な運動パフォーマンスと関連するか否かについて検討した。足関節角度変化に伴う等尺性足関節底屈運動時の関節トルクの立ち上がり率(RTD)と内側腓腹筋の安静時弾性との関係について実験を行なった (若齢男女対象、n=27)。足関節背屈位(筋長が長くなる)において、RTDと表面筋電図の振幅値との相関関係が強くなる (r > 0.7) のに対して、足関節底屈位ではそれらの相関関係は中程度であった (r < 0.7)。また、足関節背屈位において、RTDと安静時弾性に有意な相関関係(r = 0.523)が見られたが、底屈位では見られなかった。以上のように、筋長変化に伴う安静時弾性は爆発的な運動能力に影響を与える要因であることが示唆された。この結果から、筋への機械的ストレスにより安静時弾性を増加させる介入法を考案するうえで、筋長について考慮する必要が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験と解析を順調に実施できた。今年度は、筋の安静時弾性の急性的・慢性的な変化についての実験を実施していかなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、骨格筋へ機械的ストレスを与えた際の安静時弾性の変化を急性的に検討する予定である。機械的ストレスは筋の収縮様式(短縮性収縮・伸張性収縮)と筋長(至適長より短・長)に着目する。当初の予定から変更し、単関節の筋力発揮を運動様式とする。被験者は健常な成人男女30名を予定している。下腿三頭筋の短縮性収縮と伸張性収縮を最大努力で行う。3秒間の筋力発揮と3秒間の休息を10回繰り返し、2分間の休息を挟んで3セット実施する。短縮性収縮と伸張性収縮は、1週間以上空けて別日に実施する。また、関節可動域の影響についても別日に実施するため、合計で4施行となる。超音波エラストグラフィを用いて内側腓腹筋の安静時弾性を測定し、運動前後で比較する。また、内側腓腹筋内の安静時弾性の部位差についても検討する。具体的には、筋の近位、中間位、遠位において安静時弾性を測定する。以上のように、骨格筋への機械的ストレスが安静時弾性へ及ぼす影響を筋収縮様式、関節可動域(筋長)、部位差などの側面から網羅的に検討する。
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Causes of Carryover |
感染症流行およびオリンピック東京大会の延期の影響により、実験を予定通り進めることができなかった。当初予定されていた実験については2022年に実施する予定である。これには被験者謝金の支出が伴うこと、結果の公表に伴い英文校正費と投稿料、学会参加費、旅費が必要になるため、2021年度の残額分をこれらに当てる予定である。
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Research Products
(6 results)