2023 Fiscal Year Annual Research Report
筋受動的スティフネス増加のトレーニング法の確立:新たな運動パフォーマンス改善法
Project/Area Number |
21K17578
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
安藤 良介 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部門, 研究員 (10804792)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 弾性 / 剛性率 / スティフネス / 腓腹筋内側頭 / 接地時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の以前の研究において、8週間のドロップジャンプトレーニングにより筋スティフネスが低下することが示された (若手研究18K17813, Ando et al. Front Physiol 2021)。これは動物実験の結果に基づいた仮説に反するものであったが、その原因として被験者のドロップジャンプパフォーマンスが非常に低く、接地時間が長いため、筋の伸長が繰り返されていたことによるものであると考えた。そこで、1) 月に数百キロの距離を短い接地時間で走行する長距離走者とAndo et al. 2021でリクルートした健常成人のデータの比較と2) 長距離走者内で走行中の接地時間と筋スティフネスの関係を検討した。 Ando et al. 2021でリクルートした被験者のドロップジャンプ時の接地時間が214 ± 38 msであるのに対して、本研究でリクルートした長距離走者9名の疾走時の接地時間が178 ± 10 msであった。運動様式が異なるため直接的には比較はできないが、長距離走者は短い接地時間で走行していることから、腓腹筋内側頭には相対的に伸張性収縮が負荷されていない可能性がある。このような違いがあるにもかかわらず、腓腹筋内側頭の剛性率(筋スティフネス)には差が見られなかった(14.2 ± 3.2 kPa vs. 12.5 ± 4.3 kPa)。一方、長距離走者内においては、疾走中の接地時間と腓腹筋内側頭の剛性率の相関係数は低値を示した (r = -0.149)。以上の結果は、ジャンプトレーニングや疾走時の筋の収縮様式に着目することにより筋スティフネスの変化を引き起こすのは困難であることを示唆している。
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