2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism for improving the running economy by strength training
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21K17590
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
丹治 史弥 東海大学, 体育学部, 助教 (00804957)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ストレングストレーニング / プライオメトリクストレーニング / ランニングエコノミー / 走パフォーマンス / アスリート / RFD / Isometric Mid-Thigh Pull / 表面筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
高負荷のストレングストレーニングは低負荷に比べてランニングエコノミーや筋発揮能力の改善に効果的であると報告されている一方で、低負荷にプライオメトリクストレーニングを組み合わせたトレーニングもランニングエコノミーの改善に優れていると示されている。また、近年、ランニングにとっては筋発揮能力のうち、最大筋力よりも素早く力を生み出す能力である力の立ち上がり率(Rate of Force Development: RFD)が重要であると指摘されている。そこで本研究は、1) 高負荷ストレングストレーニングにプライオメトリクストレーニングを組み合わせたトレーニング効果を明らかにする、2) 筋発揮能力および走行中の筋活動の変化を評価することによってストレングストレーニングによるランニングエコノミー改善の機序を検討することを目的とする。 2023年度は、Isometric Mid-Thigh Pull(IMTP)によるRFD、力発揮開始後100 msおよび200 msにおける発揮筋力および最大発揮筋力の測定を長距離ランナーに実施し、ランニングエコノミーとの関係を明らかにした。その結果、200 msにおける発揮筋力が高強度(330 m/min)走行中のランニングエコノミーとの間に有意な負の相関関係が示された。また、IMTPでの最大発揮筋力よりも100 msや200 msにおけるRFDや発揮筋力の方がランニングエコノミーとの関係が強いことが認められたことから、ストレングストレーニングの効果の検証には最大発揮筋力が出現するまでの時間における発揮能力も含めて評価することでよりランニングエコノミー改善の機序を検討できると考えられる。また、カウンタームーブメントジャンプやリバウンドジャンプの能力とランニングエコノミーとの相関関係は認められなかったものの、縦断的変化の関係について引き続き調査予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度は、長距離ランナーの筋発揮能力および鉛直方向のジャンプ能力(カウンタームーブメントジャンプやリバウンドジャンプ)とランニングエコノミーの横断的関係について調査することができた。その結果、ランニングエコノミーに関係の強い筋発揮能力の指標を明らかにすることができ、それらの指標を縦断的に追跡することがランニングエコノミーの改善の機序解明に寄与すると推察される。 一方で、2023年度内にトレーニング実験を実施するに至らなかったため、本研究課題の進捗状況は「遅れている」と評価される。その原因として、ランニングエコノミーの優劣が走パフォーマンスへの貢献に大きいことから、トップアスリートを対象に被験者として応募をかけていたが、被験者が集まらず実験実施に至らなかった。学生アスリートにおいても走パフォーマンスとランニングエコノミーの間には有意な相関関係が認められていることから、被験者の競技レベルを下げ、広く募集することで被験者を集めていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は長距離ランナー8名程度に対して、通常のトレーニングに加えて週2回6週間のストレングストレーニングを実施させる。この際、高負荷(4RM強度)または低負荷(20RM強度)のストレングストレーニングにプライオメトリクストレーニングを加えたトレーニング期間を設ける。それぞれのトレーニング前後にはランニングエコノミーとIsometric Mid-Thigh Pullによる筋発揮能力およびジャンプ能力を評価する。被験者は両方のトレーニングを6週間以上空け、クロスオーバーにて実施する。 被験者を大学競技者レベルの長距離ランナーと設定し、広く募集を行うことで被験者を確保する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度は予定していたトレーニング実験を実施できなかったため、人件費・謝金などに使用する予定の費用も一切使用しなかった。そのため次年度に使用額が繰り越しとなった。2024年度はトレーニング実験を実施するため、被験者や研究補助者への謝金、消耗品の購入に使用する予定である。
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