2021 Fiscal Year Research-status Report
Impact of High Intensity Interval Training on Exercise Capacity in Elderly Patients with Sarcopenia
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21K17603
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稗田 道成 九州大学, 医学研究院, 助教 (80739342)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高齢サルコペニア / 高強度インターバル運動 / 運動耐容能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦は急速に高齢化が進み、寝たきりの高齢者が増加傾向にある。将来的な寝たきりを予防し、高齢者の運動耐容能を保持し、健康長寿を実現することが時代の急務と言える。実に、65 歳以上の高齢者の約3割がサルコペニアに陥っている。その対策として、十分な蛋白質摂取の上で筋肉量を増やし、筋力や身体能力を改善するためのレジスタンス運動と低強度の有酸素運動が効果的であると考えられている。一方、高強度インターバル運動訓練療法の運動耐容能改善効果が高いことは、すでに数多くの臨床研究で実証されている。しかしながら、高強度インターバル運動訓練療法の高齢者サルコペニア集団での運動耐容能改善効果については、十分検証された報告はまだない。よって、本研究の目的は、高齢者集団における高強度インターバル運動訓練療法の運動耐容能改善効果を明らかにすることである。究極的には、高齢者の寝たきりを予防できる治療法として樹立することを目標に置いた。 患者リクルートのスクリーニングの過程で、高齢者集団は大動脈弁狭窄症を有していることが解った。経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を行い、治療を行っている高齢大動脈弁狭窄症患者もいれば、ADL低下や認知症などの理由で、TAVIをも行えていない高齢者も少なからず多く存在することが解った。また、これまで報告されている以上の割合の高齢者がサルコペニアに陥っていることが判明し、骨格筋力、骨格筋量が低下しているためにフレイルになっていることが解った。同時に、腎機能低下を合併した高齢者も多く、腎保護のために蛋白摂取制限を行う必要がある。 高強度インターバル運動トレーニングを実践するにあたり必要な装着式心拍数モニターや高齢者がは選定を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、以下の理由で進捗状況が遅れている。 (1)COVID-19流行期に伴い被験者リクルートメントの難航 本研究を実施するにあたり、開始後すぐに研究を始められるように環境整備を整えた。しかしながら、COVID-19の流行に伴い部外者の大学敷地内への立ち入りが禁止されるようになってしまい、被験者募集のリクルートメントを実施することが全く出来ない期間があった。特に、オミクロン株流行期は、外部からの出入りが厳格に禁止されたこともあり、予定の通りリクルートメントが進まなかった。また、COVID-19流行期に、感染のリスクを理解した上で、本研究のために大学病院へ出向きボランティアとなることを希望する被験者が極端に少なかったため、予定通りの被験者リクルートメントが出来なかった。 (2)COVID-19流行期に伴う心肺運動負荷試験実施中止による影響 本研究は、心肺運動負荷試験における運動耐容能(peakVO2)を中心に、呼吸機能検査、6分間歩行距離、歩行速度、握力、大腿筋筋力(膝伸展最大張力)、身体組成(体重、BMI、除脂肪体重、骨格筋量、腹部内臓脂肪量)、安静時および運動負荷時の心エコー図検査(左室容積、収縮特性指標、拡張特性指標など)、呼吸機能検査を実施するものであった。オミクロン株流行期は、感染防御の観点から心肺運動負荷試験や運動負荷心エコーの実施をやむを得ず休止せざるを得ない時期があったため、(1)と合わせて被験者リクルートメントが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19流行期に伴う被験者リクルートメントが最大の障壁となっているため、大学病院ではなく、大学関連病院でも、大学とまったく同じ心肺運動負荷試験の装置を購入し、すぐに研究を展開していけるようにスタッフ教育を行った。1年をかけて十分な準備期間を設けることができたため、新年度からは大学病院以外でも被験者リクルートメントを行う予定である。少なくとも今年度は、総被験者リクルートメントの半分は実施できるように努力していきたいと考えている。 本研究の位置づけとして、比較的小規模集団ではあるものの、栄養療法と高強度インターバル運動トレーニングを組み合わせた前向きランダム化介入試験は、国内・国外においてもまだ報告はなく、運動生理学という視点からも老年医学という視点からも斬新といえる。本研究の結果として、高齢者サルコペニア集団において、十分なタンパク質摂取と高強度インターバル運動療法のコンビネーション効果があると判断される結果であった場合、その医学的インパクトは極めて大きいため、COVID-19の影響は受けつつも、確実に症例を登録していき、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行に伴い被験者リクルートメントが難航したため、賞味期限のあるプロテインは購入しなかった。また、多額の予算を充てていた携帯型心拍数モニターや活動量モニターの選定は行っているものの、最新のものが出る可能性もあるため、ある程度被験者リクルートメントの目途が立った上で大量購入する計画である。
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Research Products
(1 results)