2021 Fiscal Year Research-status Report
Does lactate increase by a single high-intensity exercise contribute to the enhancement of working memory?
Project/Area Number |
21K17605
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
朴 ジョンヒョク 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (80835843)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳酸 / 作業記憶 / ワーキングメモリ / 海馬 / 神経可塑性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、空間的作業記憶に海馬が大きく関与していることが報告されている。一方、乳酸閾値(LT)を上回る強度の運動が海馬機能に好影響を与えることから、運動で高まる乳酸が神経細胞に取り込まれることで空間的作業記憶の向上に関与することが想定される。そこで本研究では、まず乳酸と作業記憶向上の関係について検討した。 10週齢のC57BL/6J雄マウスを (1) コントロール群、(2) 乳酸投与群、(3) 乳酸+4-CIN投与群の3群に分けた。(1)と(2)にはVehicleを、(3)には神経細胞への乳酸の取り込みを担うMCT2の阻害薬4-CINを腹腔内に投与し、30分後にSalineまたは乳酸を腹腔内に投与した。その30分後に空間的作業記憶(自発的交賛行動率)を評価するためにY字迷路試験を行った。その結果、自発的交賛行動率は3群間において有意な差は認められなかった。また、海馬における神経可塑性関連遺伝子(c-fos、Arc、Zif268)と脳由来神経栄養因子(BDNF)mRNA発現においても3群間で有意な差はなかった。このことから、腹腔への乳酸投与は、30分後の空間的作業記憶および上記の遺伝子発現に影響しないことが示唆された。これは、以前、一過性の高強度運動30分後にc-fos、Arc、Zif268とBDNF mRNA発現が有意に増加し、空間的作業行記憶が向上した研究結果と異なる結果であった。しかしながら、本実験でY字迷路試験時にいずれ群において各アームに進入した回数が異常に少なかったため、正確な自発的交賛行動率の評価ができなかった。また、N数がすくなかったことも含め、空間的作業記憶向上に対する乳酸の影響について更なる検討が必要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定していた実験の中止を余儀なくされ計画通り遂行することが困難であった。また、空間的作業記憶向上に対する乳酸の関与について検討を行ったが、特に行動試験実験で想定外の結果となったため、再び実験計画を見直す必要性が生じたこともあり、本年度の進捗状況は「遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験で、特に薬投与後の行動試験では想定外の結果となった。その原因の一つにマウスへの腹腔内投与量と投与時間が適切ではなかった可能性がある。あわせて、これまで運動・投与後のみに作業記憶評価を行ってきたが、運動または投与前の評価を加えて運動前後の自発的交賛行動率の増減を調べる。また、作業記憶向上に対して高強度運動、乳酸投与の効果に加え、低強度運動群に乳酸を投与することにより、これが高強度の運動効果を発揮できるか検討し、初年度の遅れを取り戻せるよう、研究に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当該年度に予定していた実験計画の遂行に遅れが生じたため。まだ未遂行の実験を行うために必要な実験消耗品等の購入に使用するとともに、学会への参加、論文の掲載料などに充てる予定である。
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