2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of the Integrity Index for College Sports Organizations and Its Relationship with Athletic and Academic Performance
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21K17607
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
庄司 直人 朝日大学, 保健医療学部, 准教授 (40783353)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | インテグリティ / 暴力・体罰 / ハラスメント / 達成動機 / 競技力向上 / ストローク |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の本研究課題に関する成果の一つとして、「バレーボールにおける指導者のストロークと選手の達成動機」が朝日大学保健医療学部健康スポーツ科学科紀要第5号に掲載された。本研究課題は、スポーツ・インテグリティの追求は大学スポーツ組織(チーム)に競技成績や学業成績の向上などポジティブな作用をもたらすのか検証し、それにより大学スポーツにおけるインテグリティの追求を加速させることを目指す。研究目的は以下の3つである。1)スポーツ・ インテグリティ・インデックス大学版作成、2)スポーツ・インテグリティと競技成績・学業成績の関連の検証、3)人の利他や社会を尊ぶ特性を活かすインテグリティ涵養方法の有効性の検証。2021年度には上記1)に取り組む計画であった。まず、インテグリティの多くの要因に関連する暴力・ハラスメントに関するスポーツ現場の実態把握が急務であった。インテグリティはスポーツ全体の取り組むべき課題であるが、競技別に実態を見るとバレーボールで体罰や暴力が最も多いことが先行研究から明らかであった。そして、本研究課題においては上記3)の通りインテグリティ涵養方法を検討するが、スポーツ現場(特に競技力向上に主眼を置くチーム)で本研究を受け入れてもらうためには、インテリティの追求が競技パフォーマンスに好影響を及ぼす可能性を示す必要があると考えられた。そのため、当初研究計画に先立ちインテグリティの追求が競技力に有益であることを示すことに注力した。その結果、暴力や体罰が選手の成功の鍵を握るとされる達成動機に悪影響を及ぼし、選手が受けて心地よいと感じるポジティブな働きかけ(ポジティブストローク)が達成動機に好影響を及ぼすことが明らかになった。この成果を対象者・チームリクルートの参考資料に用いることで、今後の研究計画遂行に重要なリクルートがより円滑になると考えられる点に重要な意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究計画通りには進んでおらず少し遅れている。その理由は、研究全体の推進を見据えスポーツ現場の指導者、選手に対するヒアリング及びインタビュー調査を行ったところ、次の課題とその対応が急務であることがわかり、その対応をおこなったためである。本研究においては多くの大学スポーツチームの協力を得る必要があり、多くのチームから協力を得るためには積極的に参加したいと考えてもらえる理由、研究参加の強力な動機が必要であった。つまり、研究参加を促す動機づけの誘因として、インテグリティ保護・追求・強化が競技力向上に結び付く科学的根拠を示す必要があった。当初研究計画にはなかったことであるが、追加的研究の成果によりインテグリティの保護・追求が選手の競技力向上の鍵となり得る達成動機に好影響を及ぼすという科学的根拠を示すことができたため、本研究の今後の進捗にとって、大きな意義のある遅れである。当初研究計画には遅れているものの、上記の研究成果を示すことによりリクルートが円滑に進み、結果的に研究の進捗が円滑になると期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
スポーツ・インテグリティの尺度開発において、研究計画通りに推進するための一番の課題は研究への参加チームのリクルートである。2021年度にインテグリティの涵養に取り組むことが競技力向上に寄与する科学的根拠を示したため、その成果を活用して研究推進を図る。 本研究で開発するスポーツ・インテグリティ尺度の構成概念は、正義、公正、尊厳、優しさ、卓越性、倫理、モラル、社会性、スポーツマンシップ、平等、責任、尊厳、行動規範、一貫性、道徳性(誠実)、説明責任など多岐にわたるため、研究代表者に加え、哲学、倫理学、法学、経営学、金融経営学、スポーツ、教育などの各領域専門家から意見を聴取しながら推進する。これら多様な専門家の意見を取り入れたスポーツ・インテグリティ尺度の開発を目指すとともに、量的研究としてトライアルを重ねて科学的根拠の蓄積を図りながら完成させる。尺度開発過程は、日本体育・スポーツ・健康学会、予備的調査の結果を日本コーチング学会で報告し議論することで開発するインテグリティ尺度の質の向上を図る。 量的調査においては、上記の通り、参加チーム・選手のリクルートが最重要課題と考えられるため、追加的研究の成果を活用することでリクルートを加速させ研究を推進する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由は以下の三点である。一つは、研究推進に予定していた多領域の専門家からの意見聴取、リクルートを多数予定していたが、その意見聴取を遠隔で行うことができたことと、本研究を円滑に行うための追加的研究が必要となり研究計画の1ステップ目の前の段階に取り組んだことと、新型コロナウイルス感染症のまん延防止による移動の制限により、延期した意見聴取やリクルートが複数回あるため旅費の執行が予定より少なくなったこと。二つ目は、複数回の意見聴取が延期されたため、それに伴う研究の進捗が変更になったことである。以上の二つが予算の使用計画にも変更が生じた大きな理由である。 三つ目は、学会において研究成果の発表を行う計画であったが、学会開催方法の変更があり学会での発表を見合わせ、論文により成果の発表を行ったことである。 2022年度は、当初計画に加え、2021年度に行う予定だった専門家の意見聴取、リクルート、学会における研究成果の発表を実施することで当初計画の通り旅費等を執行する計画である。
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