2022 Fiscal Year Research-status Report
低酸素環境下におけるスプリントトレーニングプログラムの開発
Project/Area Number |
21K17617
|
Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
笠井 信一 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 助教 (60845874)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 低酸素 / 高強度運動 / 動脈血酸素飽和度 / 筋血流量 / 筋酸素消費量 |
Outline of Annual Research Achievements |
アスリートの競技力向上をねらいとした最先端のトレーニングの一つに「低酸素トレーニング」が挙げられる。近年では、無酸素性能力の改善をねらいとした「低酸素スプリントトレーニング」の有効性が数多く報告され(Faiss et al. 2013, Brocherie et al. 2015, Kasai et al. 2017)、当該分野における急速な発展が指摘されている(Millet et al. 2019, Girard et al. 2020)。その中で、低酸素スプリントトレーニングの推奨プロトコールが示され(Brocherie et al. 2017)、国内外のスポーツ競技現場において実践されつつある。また、低酸素スプリントトレーニングの実施により、骨格筋内の代謝応答(血流量、酸素消費量)が亢進することを我々は明らかにしたが(Kasai et al, preparation)、運動後その影響が持続する時間は明らかにされていない。したがって、低酸素スプリントトレーニング後の代謝応答を詳細に明らかにする事で、科学的エビデンスに基づく汎用性の高いトレーニングプログラムを提示することにつながることが期待される。 そこで、本研究では、低酸素環境下での一過性のスプリント後における筋血流量および筋酸素消費量の経時的変化を明らかにすることを目的とする。スポーツ競技者10名を対象に、スプリント運動を低酸素環境(酸素濃度:14.5%)または通常酸素環境(酸素濃度:20.9%)で実施し、運動終了40分後まで10分毎に経時的に各種測定を行う。運動パフォーマンス、全身循環指標(動脈血酸素飽和度、心拍数)、局所循環指標(筋血流量、筋酸素消費量)を測定する。現在、半数の被験者数であるが、筋血流量および筋酸素消費量は低酸素条件が通常酸素条件と比較して20分後まで高値を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日頃から高強度トレーニングを実施しているアスリートのスケジュールの都合上、被験者数が半数となっている。今後、全被験者のデータを取得できる予定であり、おおむね順調であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の6月には全被験者のデータを取得できる予定である。測定したデータの解析は進めており、追加して得られたデータを加えて最終的な統計解析を実施する予定である。今秋には論文執筆を終え、投稿する予定である。 また、令和5年度実施する研究も予備実験を始めており、夏での実施に向けて進めていく。
|
Causes of Carryover |
採用2年目(令和4年度)も、感染症拡大により実験の実施および被験者の選定が困難な状況であったため、当初計画していた測定機器の購入額等を減額した(低酸素環境という換気悪い環境であるため)。採用3年目(令和5年度)は追加実験の予定をしており、その物品費の購入を予定している。令和5年度は、海外での学会発表も予定しており、当該助成金と併せてより良い研究を進めていきたい。
|