2022 Fiscal Year Annual Research Report
歩行動作を構成する生体力学的サブタスク間での相互依存性
Project/Area Number |
21K17627
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木伏 紅緒 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (30844998)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 表面筋電図 / 動作分析 / 歩行 / 筋協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
歩行動作は,接地時における荷重応答や遊脚の加減速といったサブタスクを連続的に実行することで達成される.いずれかのサブタスクの力学的・運動学的特性の変更は他のサブタスクの実行にも影響を及ぼすと考えられる.こういったサブタスク間の相互依存性は,リハビリテーションのような運動学習が必要な場面においては念頭に置いた方が有益な治療につながるであろう.しかし,サブタスク間での相互依存性についてはほとんど理解が進んでいない.本研究の目的は,歩行動作を構成するサブタスク間での相互作用を筋シナジー(同期的な筋活動パターン)の観点から明らかにすることである.今回は,推進力生成と遊脚時のクリアランスを取り扱うこととした.推進力生成と遊脚時のクリアランス高の調整は,足関節底屈筋と足関節背屈筋の振幅を筋電図バイオフィードバックで調整することで達成した.実験では被検者に,筋活動を通常歩行時の1.4倍に増加させる条件と(High),通常歩行と同等の活動に合わせる条件(Normal)を実施してもらった.そして,歩行中の表面筋電図から筋シナジーを抽出し,条件間で特徴を比較した.足関節底屈筋を調整する実験課題の分析の結果,筋シナジーの明確な微調整は確認できなかったものの,筋ごとの調整が観察された.High条件では,立脚後期での膝関節屈曲筋のピーク活動の増加と膝関節伸展筋のピーク活動の低下がみられた.この調整は,筋シナジーの調整とは独立してなされ,膝関節屈曲による追加的な推進力の生成に寄与する可能性がある.足関節底屈筋の活動を調整する場合,筋シナジー単位では他のサブタスクに影響しないものの,個々の筋レベルでは影響することが明らかになった.最終年度は上記の分析を進め,論文を国際学術雑誌に投稿した.今後は足部クリアランス高の調整に関する研究を推進し,研究成果の汎用性を明らかにすることが課題である.
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