2021 Fiscal Year Research-status Report
Transformation and acceptance of Chinese martial arts in Japan: Focusing on the research infrastructure construction and influence of Japanese martial arts
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21K17628
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
劉 暢 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (30880330)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国武術 / 武術太極拳 / 武道 / 文化変容 / 近代化 / 柔道 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初設定した研究課題について、2021年度の成果は以下の通りである。 1.中国武術の史・資料について、主に以下のものを収集することができた。 ①『民国国術期刊文献集成』(2008年出版、全31巻、1912年から1949年までの主要な武術雑誌43種を収録)、『中国武術大典』(2012年出版、全101巻、漢代から1949年までの古籍324種を収録)を収集し、重要資料の日本語翻訳に取り組んだ。②20世紀前半の中国で刊行された『日本柔術』(中華書局出版、1917年、底本は講道館の教材)、『率角法』(中央国術館出版、1932年、底本は『柔道教範』)、『短兵術』(教育部国民体育委員会主編、1945年)など日本武道と関係する一次資料を収集・複写することができた。③日本武術太極拳連盟の機関誌『武術太極拳』を創刊号(1984年)から2021年12月号まで収集した。 2.日本武道が中国武術の近代化に及ぼした影響について、主に以下の成果をあげた。 ①『申報』(1872年創刊、1949年廃刊)の関係記事と、20世紀前半の中国で刊行された日本武道の訳書、中等学校で使用した教材などを用い、中国において日本武道はいつ、どのように紹介されるようになったのかを明らかにした。また、柔道の技術(特に寝技、関節技など)がシュアイジャオ(投げ技を中心とした中国式のレスリング)に影響を与えたことを確認した。この研究は日本武道学会第54回大会で発表した。②『新体育』、『中華武術』、『武林』、『武魂』、など1980年代以降に発行されたスポーツ雑誌を用いて、日本武道はどのように中国の体育雑誌で表象されていたのかを明らかにした。この研究は日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会で発表した。③日本における中国武術の受容過程を中国の学術誌『 体育科学研究』で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大により、研究計画に大幅な変更を余儀なくされたため。特に、史・資料の収集に出向くことができず、聞き取り調査も積極的に実施できる環境ではなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は『中国古代武芸珍本叢編』(2015年出版、全16巻)、福昌堂発行『武術(うーしゅう)』(1982年創刊号~2005年最終号)など史・資料の収集につとめ、また、日本武術太極拳連盟の関係者、日本人の中国武術実践者らへの聞き取り、ならびに、全日本武術選手権競技大会、国民体育大会武術太極拳競技などの大会・イベントをフィールドワークすることで関連の資料を収集する予定である。 また、史・資料を収集するかたわら、すでに収集済のものに対して翻訳、整理を行い、関係者・団体のプライバシーの保護を徹した上でオープンアクセス可能なサイトで公開する作業を推進する。 さらに、日本武道が中国武術の近代化に及ぼした影響について、柔道とシュアイジャオ以外に、剣道と短兵(中国式の撃剣術)の関係をふかぼりし、誰が、なんのために柔道・剣道などの日本武道を導入し、その結果、中国武術の近代化にどのような影響をもたらしたのかという見取り図を示す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた国内・国外の出張が取り止めとなり、当初予定していた使用計画より少ない額の執行となった。繰り越した分の予算については、2022年度の史・資料整理及び研究成果発表に充当する。
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