2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K17633
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
小杉 亮人 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 モデル動物開発研究部, リサーチフェロー (80834647)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 運動学習 / 感覚予測誤差 / 筋力発揮 / 光遺伝学 / コモンマーモセット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「誤差を減少させるように運動を修正する」脳の運動学習プロセスに着目し、運動学習理論に基づく発揮筋力増大方法を開発することである。この目標を達成するため、小型霊長類モデル動物である、コモンマーモセットを対象に研究を進めている。本年度は、体性感覚予測誤差を人為的に増大させる介入方法の開発が完了した。具体的には、ウイルスベクターを用いた光遺伝学的手法によって、霊長類の触覚や固有感覚に関係する神経細胞を選択的に活性化することに成功した。前年度の予備検討を元に、AAV9改変ベクターの静脈投与を用いて光活性化タンパク質を一次求心性線維に発現させ、その効果を電気生理実験によって検証した。一次求心性線維に光を照射した際の脊髄での神経活動応答を記録した結果、触覚や固有感覚に関係する神経細胞が選択的に活性化されていることを確認した。以上の内容について、学会発表を実施した。また、慢性的に一次求心性線維に光を照射するための装置の開発を進めた。予定していたLEDを末梢神経に設置する方法は頓挫したものの、光ファイバーをカフに取り付け、末梢神経に巻きつけて慢性的に光を照射する方法が有用であることを確認した。今後は、本手法で実験を実施する予定である。以上より、当初予定していた本実験を次年度実施する準備が整ったと言える。さらに、一次求心性線維の活動を活性化するだけでなく、抑制するための基盤技術の開発にも成功した。本内容については、現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、体性感覚予測誤差を人為的に増大させる介入方法の開発を予定していた。そのために、急性実験と装置開発を実施した。急性実験については予想していた実験結果が得られ、概念実証が無事完了した。装置開発については当初の予定は頓挫したものの、代替案の有効性が示されたため、代替案を採用した。以上より、当初予定していた本実験を次年度実施する準備が整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、体性感覚予測誤差を人為的に増大させた際に行動変容が生じるかの検証実験を実施する。具体的には、これまでに確立した手法を用いて光感受性タンパク質を一次求心性線維に発現させた後、随意運動時の筋活動依存的に一次求心性線維を光刺激する。この際の運動軌道の変化を評価することで、体性感覚予測誤差への適応の有無、およびその過程を検証する。
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Causes of Carryover |
今年度支出を予定していた実験機器について、試作であったため予定以下の予算となり、次年度使用額が生じた。次年度は試作よりも値段が増加すると考えられるため、次年度使用額を用いて実験機器を製作する予定である。
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