2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of cardiac nutrition and metabolism targeting FGF21 secretion and mitochondrial autophagy
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21K17639
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 希 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (40897617)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | FGF21 / 大豆タンパク / 心肥大 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
成体となった野生型マウスに、コントロールとしてカゼインをタンパク質源とした餌、そしてFGF21の血中濃度を増加させる大豆タンパクをタンパク質源とした餌を摂取させ二週間継続した後、横行大動脈結紮術(TAC)による心肥大ー心不全モデルを作成し、両群の餌を3週間継続した。その結果、心エコーによる心機能検討ではコントロールであるカゼイン摂食群と比較して、大豆タンパク摂食群ではTACによる収縮能の指標EFやFSの低下・左室拡張末期径/左室重量の悪化などが抑制されていることが明らかとなった。心臓摘出後、心重量測定を行ったところ、TACによる心肥大が大豆タンパク摂食群で抑制されていることが明らかとなった。また、マッソントリクローム染色により心筋組織の線維化定量を行ったところ、カゼイン摂食のTAC群で増加した心筋組織・血管周囲の線維化が増加したが、大豆タンパク摂食群で抑制されていることが明らかとなった。以上より、FGF21の血中濃度を増加させる大豆タンパクまたは消化された後の分解産物が心臓に対して機能性を有し、TACによる心肥大・線維化などの左室リモデリングに対して抑制的な効果がある可能性が考えられる。心臓におけるFGF21とミトコンドリアのオートファジー機能であるマイトファジーとの関係はこれまでほとんど明らかになっていないが、大豆タンパクがFGF21の血中濃度増加を介して心臓のマイトファジー機能に関与するか各群の心臓組織のタンパク・RNAサンプルで検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FGF21の血中濃度を増加させる大豆タンパクが心機能にも効果がある可能性が現在までの実験結果で見出されており、今後大豆タンパクがマイトファジー機能に関与しているか、またどのような機序で大豆タンパクが心肥大ー心不全の病態に対して効果をもたらしているのかなど今後の研究に発展性をもたらす可能性があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
摘出した各群の心臓組織のRNA/タンパクより、心肥大・心不全・線維化などのマーカーを一通り解析する。大豆タンパクがFGF21を介してマイトファジー機能に関与しているか、RNAやタンパクなどで網羅的な解析を行う必要がある。また、マイトファジー機能だけではなく、大豆タンパク摂取により心臓組織や血液サンプルで糖代謝・脂肪酸代謝がどのように変化しているかについても網羅的解析を行う。今年度は餌摂食による心臓への効果を検討したため、糞便サンプルを用いて、大豆タンパク摂食群で特異的な細菌や代謝産物が増加しているかを検討する必要性も考えられる。またその代謝産物が明らかになった後、マウスやラットの心筋細胞に添加して心肥大・心ストレス刺激に対し抑制効果を示すか、マイトファジー機能に対しても反応を示すか解析を行う。
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