2021 Fiscal Year Research-status Report
肥満は糖化ストレスによる骨格筋毛細血管退行を促進するか
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21K17652
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Research Institution | Okayama Healthcare Professional University |
Principal Investigator |
田中 雅侑 岡山医療専門職大学, 健康科学部 理学療法学科, 助教 (10780497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖化ストレス / 肥満 / 骨格筋 / 毛細血管 / 高脂肪食 / メチルグリオキサール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1)肥満が糖化ストレス負荷による骨格筋毛細血管の退行を促進するか、2)毛細血管の退行促進を介して骨格筋のさらなる機能低下を招くか、を動物実験で明らかにすることを目的としている。 メチルグリオキサール(Methylglyoxal: MGO)は解糖系により生成される代謝産物であり、終末糖化産物(AGEs)の前駆体として糖化ストレスに関与する。通常、MGOは生体に存在する解毒作用により無害な乳酸に代謝される。しかし、加齢、糖尿病、過剰な糖質摂取による糖化反応の亢進に伴いMGOの生成や蓄積が進むと、MGO由来のAGEsが生成・蓄積され、血管障害の発症に至る。また、MGOの解毒作用を司る律速酵素グリオキサラーゼ 1(Glyoxalase 1: GLO1)の発現は、肥満の進行に伴い低下するとされており、肥満状態ではMGOの解毒が進まず、AGEsの生成が加速すると考えられる。したがって、糖化ストレス負荷に肥満が加わると、MGO解毒作用の低下によりAGEsの生成や蓄積が亢進し、糖化ストレス負荷のみの場合と比べて骨格筋毛細血管退行がさらに進むと仮説を立てた。そこで、この仮説を明らかにするため、糖化ストレスと肥満をそれぞれ惹起するMGOと高脂肪食の長期摂取を行わせる動物実験を計画した。 本研究は3年計画であり、2021年度は1年目に該当する。当初の予定では、本年度に全ての実験群の作製を終え、得られた筋試料の解析を開始することを目標としていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響により、実験を実施できなかった時期があり、これまでのところ、一部の実験群のみの作製及び試料採取にとどまっている。得られた筋試料を使用して血管新生因子やAGEs/RAGE経路に関する分析をWestern blot法により進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、実験を実施できなかった時期があり、モデル動物の作製や試料の分析が中断された。このため、研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に作成できなかったモデル動物の作製を行い、全ての実験群の試料を得たうえで、組織学的・生化学的・分子生物学的解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた研究が実施できなかったため、実験全般に影響が出た。持ち越した研究費は次年度の研究に必要な実験消耗品・物品購入に係る経費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)