2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of physiological function on lipid metabolism by phospholipid regioisomers
Project/Area Number |
21K17658
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 誠也 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (40897906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リン脂質 / 異性体 / LC/MS/MS / ホスファチジルコリン / DHA |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質は三大栄養素の一つであり、生体にとって必須な成分である。脂質は様々な脂肪酸が結合して構成されるが、天然に存在するすべての脂質においてその結合位置は結合している脂肪酸の保健機能へどのように影響を与えるかについては明らかになっていない。本研究は、脂質の中でも生体で重要な役割をなすリン脂質に注目し特に生体内で存在量の多いホスファチジルコリン(PC)について、結合する脂肪酸の位置により体内での生理作用が異なるかの検証を行った。今回代表的な分子種ということでパルミチン酸(C16:0)とドコサヘキサエン酸(DHA, C22:6)が結合したPCについて検討を行った。 まず有機合成法により各PCを有機合成した。当初は収率が悪かったが、合成条件を検討することにより大幅に収率を改善できた。さらに合成した異性体混合物をリサイクルHPLCにて分取精製する手法を開発した。得られたPC異性体を用いてLC/MS/MS標準品を作製し、イオン化効率の違いを検証した。さらに異性体それぞれをラットに単回経口投与し、異性体が及ぼす血中へのDHAの取り込まれやすさを比較した。 マウス中の脳・肝臓・血液・脂肪組織のPC異性体を分析したところ、脳でのみ顕著にPC異性体(sn-1位にDHAが結合したPC)が検出され、ほかの組織中のPCでは天然に豊富に含まれるDHAがsn-2位に結合したPCがほとんどであった。さらに興味深いことに、食事摂取のDHAはsn-1位に取り込まれやすいことを明らかにした。本研究によりリン脂質異性体、特にPC異性体についての合成法、分取精製法、LC/MS/MSを用いた分析法、動物体内での代謝性について明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)