2022 Fiscal Year Research-status Report
CREG1はサルコペニアに有用な標的分子となりえるか?
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21K17668
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
後藤 亜由美 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (20780969)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CREG1 / 骨格筋 / 筋再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の研究計画に沿い、CREG1が骨格筋分化・再生に及ぼす作用について検討した。C57BL/6Jマウスの前脛骨筋にCardiotoxin(10μM、0.1ml)を注射して骨格筋壊死-再生サイクルを惹起させたところ、処置1週間後では筋分化関連遺伝子に加えてCREG1ならびにCREG1の受容体として知られ骨格筋再生に関与するタンパク質であるインスリン様成長因子2受容体(IGF2R)の発現量が有意に増加した。興味深いことに、骨格筋再生時には細胞内のエネルギーバランスを制御して糖代謝を活性化するタンパク質である5' adenosine monophosphate-activated protein kinase (AMPK)のリン酸化が亢進し、糖取り込みに働くGlucose transporter 4のタンパク質レベルも上昇していることが明らかとなった。さらにCREG1がAMPKを活性化させるメカニズムをより詳細に解明するためにマウス由来筋芽細胞株C2C12筋細胞を用いて精製CREG1(1μg/ml)を投与すると、時間依存的にAMPKのリン酸化が亢進することが明らかとなった。次にCREG1の受容体であるIGF2RをノックダウンしてIGF2Rの発現レベルを低下させたところ、CREG1を投与してもAMPKのリン酸化亢進が抑制されることを確認し、CREG1がIGF2Rを介してAMPKをリン酸化することを明らかにした。これと併行し、C2C12筋細胞へ精製CREG1を投与すると骨格筋細胞内への糖取り込み量が有意に増加することが明らかとなった。さらにAMPK阻害剤の使用により、CREG1による骨格筋細胞内への糖取り込みが抑制されることを確認した。これらの結果から、CREG1はAMPK活性を介して骨格筋の糖代謝に影響を与えることで骨格筋再生に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの影響により研究に対する様々な制限があったが、その中で骨格筋細胞におけるCREG1の分化・再生における役割についての重要な知見が得られたことは当初の研究計画通りであり、今後の更なる研究進展に繋がると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究計画に沿ってCREG1が骨格筋再生過程に及ぼす作用について検討する予定である。本検討では我々の研究室で独自に樹立したCREG1-Tgマウスは骨格筋CREG1遺伝子の発現量が野生型マウスのおよそ2倍であることが明らかとなったため、当初予定していた研究内容を一部変更して、内因性骨格筋CREG1の増加が骨格筋再生に及ぼす影響について評価することとした。得られたサンプルは、RT-qPCRやWestern blot法を用いて、筋タンパク質合成・分解バランスの変化を明らかにする。組織化学的解析として免疫蛍光染色にて筋再生過程に重要な筋衛星細胞数の測定や再生筋線維の指標である中心核筋線維数などを測定し、CREG1投与が筋損傷-再生過程に及ぼす影響を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる研究制限が出てしまい、予定していた実験を行うことができなかったため使用できなかった予算が繰り越しとなってしまったためである。
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Research Products
(4 results)