2021 Fiscal Year Research-status Report
Brain microstructural alterations caused by metabolic dysfunction in older adults with type 2 diabetes.
Project/Area Number |
21K17675
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
杉本 大貴 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, もの忘れセンター, 研究員 (70760338)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者糖尿病 / 拡散尖度画像 / 脳微細構造 / 認知機能 / 認知症 / 持続血糖モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者糖尿病を対象とした24か月間の前向き観察研究によって、持続血糖モニタリングを用いて評価した血糖異常 (血糖変動、高血糖や低血糖の持続時間) が、拡散尖度画像 (Diffusion Kurtosis Imaging: DKI) を用いて評価した大脳白質や灰白質の微細構造や認知機能に及ぼす影響を明らかにすること、加えて、血糖異常に関連する高齢者の生活習慣要因を明らかにすることである。 2021年度は、研究計画に沿って対象者のリクルートを行い、高齢者糖尿病106名の同意取得および初期評価を完了した。また、初期評価の持続血糖モニタリングのデータと認知機能との関連を検討した。結果、グルコース値の適正域 (70~180mg/dL)、高血糖域 (>180 mg/dL)、それぞれが測定期間に占める割合である%Time in range (TIR)、%Time above range (TAR)が認知機能、特に遂行機能やワーキングメモリと関連していることが明らかになった。一方で、血糖変動の指標である血糖の変動係数 (%CV) は、認知機能との関連を認めなかった。 血糖異常に関連する生活習慣要因の探索においては、運動、睡眠、食習慣の観点から解析を行った。結果、10種の食品群 (魚介類、肉類、卵、牛乳、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、イモ類、果実、油脂類) の毎日の摂取と持続血糖モニタリングで得られる指標との関連を検討した結果、緑黄色野菜を毎日摂取していることが、測定期間中の平均血糖および%TARと負に関連することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、リクルートを完了し、初回登録時の高血糖や低血糖、血糖変動などの血糖異常と脳微細構造や認知機能との関連を明らかにすることが主な課題であった。当初、目標症例数は130例であったが、106例と若干不足していること、また、脳画像解析に時間を要しており、一部計画通りに進行できていないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、初期評価のうち脳画像解析を継続して行う予定である。加えて、追跡調査を実施し、血糖異常が脳微細構造および認知機能低下に及ぼす影響について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、統計解析および脳画像解析を実施するためのPCや行列演算ソフト、統計解析ソフトの購入が、既に研究代表者が有しているPCおよびソフトで可能となり不要となった。また、当初予定した症例数にリクルート数が満たなかったため、物品費および人件費についても少額で可能となった。 令和4年度、糖代謝異常と認知機能あるいは脳微細構造との関連に介在しうる酸化ストレスマーカーや炎症マーカーの測定を行う。また、初回評価より得られた結果をとりまとめ、学会および論文発表を行う。
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Research Products
(5 results)