2021 Fiscal Year Research-status Report
DHAおよびEPA過酸化物に対する安定同位体を用いた体内動態の解明
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21K17678
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉永 絢 (桐明絢) 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (20794845)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / DHA / EPA / 過酸化脂質 / 体内動態 / 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
多価不飽和脂肪酸(以降、PUFA)の中でも、DHAやEPAは、体内で合成される局所ホルモンの出発材料で、脳、網膜などの膜リン脂質の主な構成成分で、抗酸化、抗炎症作用、心血管疾患リスクの軽減や精神疾患への有効性や、脳機能改善効果が期待されている。 しかしながら、食品中のPUFAは、酸化脂質(PUFA過酸化物)となり、さらなる酸化によって生成されたアルデヒドやケトンが食中毒を引き起こす。一方、生体内に分布しているPUFAも酸化を受け、動脈硬化、認知症、糖尿病、肝癌などへの関与が示唆されている。その一方で、PUFA過酸化物を食事として摂取した際の体および健康への影響は未知である。そこで、本研究では、各種PUFA過酸化物のうち、DHAおよびEPA過酸化物の体内動態を明らかにすることを研究の目的とした。 本年度は、まずは安定同位体(重水素(D)やカーボン13(13C))でラベル化したDHAおよびEPA過酸化物(安定同位体ラベル化DHAまたはEPA過酸化物)を合成することとした。これらPUFAの高純度品は非常に高価であるため、魚油から脂肪酸メチルエステルを合成し、分取LCで精製することで10 g単位の目的のPUFAメチルエステルを得た。得られたPUFAメチルエステルを用いて、重水素化を行い、加水分解によってアルコール化し、hunsdieker反応による臭素化後、Grignard反応を用いて安定同位体(13C)でラベル化した。しかしながら、安定同位体ラベル化PUFAを大量に合成することができず、次の実験に必要な量を確保することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
PUFA過酸化物を合成するために必要な、安定同位体ラベル化PUFA(DHAおよびEPA)の合成を試みたが、DHAやEPAは構造中の二重結合数が5~6個と多いために酸化しやすく、合成における還流操作で加熱をした際に酸化されて、高い収率を確立することができず、今後の実験に必要な安定同位体ラベル化PUFAを確保することができていない。 また、前年度の若手研究課題「ラベル化同位体を用いた多価不飽和脂肪酸過酸化物の体内動態視覚化技術の開発」において、DHAやEPAより二重結合数が格段に少ないリノール酸過酸化物(二重結合数2個)の体内動態解析を行った。その際に、リノール酸過酸化物は代謝が早いことが明らかとなったため、胃酸などで二重結合部位が開裂し、中鎖脂肪酸に分解され、代謝されている可能性がでてきた。この結果から、リノール酸過酸化物より二重結合数の多いDHAやEPA過酸化物も、胃酸で分解されて中鎖脂肪酸を生成することが予測される。そこで、安定同位体ラベルをしていないDHAやEPAを用い、光酸化によってPUFA過酸化物を作成した。現在、人口胃液でDHAおよびEPA過酸化物が分解され中鎖脂肪酸を生成されるか、GC-MSで確認を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、安定同位体ラベル化PUFA(DHAおよびEPA)の合成を引き続き行い、安定同位体ラベル化PUFA過酸化物の合成を行う。安定同位体ラベル化PUFA過酸化物を合成する際は、光酸化を行うが、酸化させすぎると二次酸化物が生成されてしまうため、光酸化の条件(温度、反応時間)の検討も行う予定である。 また、DHAやEPA過酸化物も、胃酸で分解されて中鎖脂肪酸を生成することが予測されたため、同時並行で、①人口胃液でDHAおよびEPA過酸化物が分解されるか、②分解が起こった際には、どのような酸化物(中鎖脂肪酸、アルデヒド、ケトン類など)が生成されるか、GC-MSで同定する予定である。
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Causes of Carryover |
安定同位体ラベル化PUFAの大量合成に至っておらず、原料のDHAおよびEPA、安定同位体をそれほど消費していないので、次年度使用額が生じた。 今後は、安定同位体ラベル化PUFAの大量合成を行うので、原料のDHAおよびEPA、安定同位体の購入に使用する予定である。また、安定同位体ラベル化PUFA過酸化物ができ次第、マウスを用いて呼気試験を行うので、マウス購入費として使用する予定である。そのほか、試薬、ガラス器具など実験に使用する物品を購入する「消耗品費」として、使用する。
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