2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K17698
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 綾乃 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特定研究員 (50836674)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食餌制限 / グルタミン酸トランスポーター / 腸管 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、DRの作用機序を明らかにすることを目指しており、ショウジョウバエの腸管における解析から明らかになった、二つのグルタミン酸トランスポーターに注目し解析を進めている。これらのグルタミン酸トランスポーターは、高栄養(Adlibitum; AL)条件下では加齢に伴い発現が低下するが、DR条件下では高い発現を維持していた。本年度は、遺伝学的手法を用いて、腸管特異的に個々のグルタミン酸トランスポーターのノックダウンを行ったところ、それぞれにおいてDR依存的な寿命延伸の短縮が確認できており、グルタミン酸トランスポーターのDR依存的な寿命延伸効果への関与が示唆された。さらに、腸管におけるグルタミン酸トランスポーターの重要性を明らかにするために、腸管における二つのトランスポーターのノックダウンを同時に行い、寿命への影響を解析中である。また、グルタミン酸トランスポーターを腸管特異的に過剰発現させることのできる系統の作製を行った。 食餌由来のグルタミン酸の効果として、タンパク質源である酵母を餌から抜いた (0% yeast; 0YE) へグルタミン酸を添加 (0YE+Glu) すると、減弱した寿命や自発活動量が大幅に回復するという結果を得ていた。本年度は、腸管から取り込まれたグルタミン酸の代謝や他の組織における利用に注目し、解析を行った。頭部、筋肉、脂肪体、腸管におけるグルタミン酸量を比較すると、0YEに比べ、0YE+Gluでは、それぞれの組織において、グルタミン酸量の増加が確認でき、脂肪体に含まれる脂肪が増加する傾向が見られた。脂肪の増加は、DR条件下でも同様に見られる現象であることから、食餌制限への食餌由来グルタミン酸の関与を示唆できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
注目している二つのグルタミン酸トランスポーターについては、腸管特異的なノックダウンを行い、DR依存的な寿命延伸効果がそれぞれ減弱しており、腸管のグルタミン酸トランスポーターを介したグルタミン酸の取り込みは、食餌制限の作用へ関与することを示唆していた。グルタミン酸トランスポーターの役割をより明確にするために、腸管得意的なグルタミン酸トランスポーターのダブルノックダウンを行なったが、両遺伝子の十分なノックダウンが行われなかったため、解析の進行が遅れている。 餌へのグルタミン酸添加実験より、減弱した寿命や低下した自発活動量の回復が食餌由来のグルタミン酸の効果として得られ、体内におけるグルタミン酸の代謝や各組織での利用に注目した。グルタミン酸添加後の各組織におけるグルタミン酸量の増加や脂肪体における脂肪の増加が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
食餌由来のグルタミン酸と脂肪合成との関連を明らかにするために、腸管特異的なグルタミン酸トランスポーターのノックダウンを行い、脂肪合成の経路の詳細を調べる
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Causes of Carryover |
当初の計画よりもやや遅れ気味であるため、予定していた試薬の購入や解析の外注を見送ったことが理由に挙げられるが次年度にその予定を盛り込み使用予定である。
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