2021 Fiscal Year Research-status Report
非線形半正定値計画問題に対する高速かつ効率的手法の開発
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21K17709
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山川 雄也 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00837354)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非線形半正定値計画問題 / 逐次二次半正定値計画法 / 制約想定 / 点列最適性条件 / 下三角低ランク行列分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の課題としている「非線形半正定値計画問題に対する高速かつ効率的手法の開発」に関して,2021年度においては次のような研究を行った. (1)制約想定が成り立たない退化した非線形半正定値計画問題に対する安定化逐次二次半正定値計画法の開発 (2)半正定値計画問題に対する下三角低ランク行列分解を利用した最適化手法の開発 これまでの非線形半正定値計画問題に対する解法の多くは,制約想定と呼ばれる最適化問題に対する正則性が備わった問題を対象としていたが,(1)ではその正則性が成り立たないような問題を解くための解法を開発することが目的である.ここで考案する解法は,逐次二次計画法と呼ばれる非線形最適化における主要な手法を改良したものであり,本研究では,この手法により得られた解が,点列最適性条件という制約想定が成り立たない問題特有の最適性条件を満たす点であることを数学的に証明した.本研究内容は研究論文としてまとめ,現在は国際論文誌へ投稿中である.(2)では,非線形半正定値計画問題の特殊ケースである,半正定値計画問題に対する解法を開発する研究であり,問題における半正定値制約の部分に対して下三角低ランク行列分解を用いることで非線形最適化問題へと再定式化して解くというものである.本研究は,低ランク行列分解を用いた既存解法を改良したものであるが,行列分解を下三角行列に限定することで再定式化後の非線形最適化問題の規模が既存のものと比べて小さくなるため解法として効率的であり,また,その解が数学的に良い性質を持つことを示した.本研究内容は研究論文としてまとめ,現在は国際論文誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的および実験的な内容を含めて研究論文としてまとめており,国際論文誌への投稿が完了している点で順調に進展していると思われる.また,これまでの研究内容は,今後の非線形半正定値計画問題の解法開発における基盤となるものであるため,この意味でも順調であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
制約想定が成り立たない退化した非線形半正定値計画問題に対しては,近年さまざまな種類の最適性条件が提案されている.これまで開発に取り組んだ安定化逐次二次半正定値計画法は,一部改良を施すことで,前述のような新たな最適性条件を満たす点を解として得られる可能性があるため,まずはこの点に注力して研究を進めていきたい.さらに,解の近傍で速い収束性を備えた安定化逐次二次半正定値計画法の開発にも取り組んでいきたい.
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Causes of Carryover |
国内および国外の学会の多くが中止となり,使用を予定していた旅費・交通費が未使用となったことが挙げられる.今後,オンラインでの学会や研究集会がまだ続くと思われるため,このための機材等の準備のために使用を検討している.
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