2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K17740
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 将大 東京工業大学, 学術国際情報センター, 助教 (10794399)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ペアリング暗号 / ペアリングフレンドリ楕円曲線族 / 群所属判定問題 / 余因子消去 / 同種写像 / 分散処理基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,効率的なペアリングベース暗号に寄与するペアリングとその構成法を提案し,適切な暗号パラメータの探索を行い,その成果をペアリング暗号の利用者・実装者に提供することである. 2023年度では,前年度で遂行した群所属判定の理論と各楕円曲線族における最適な適用方法の解析に加え,余因子消去についても同時に理論的な成果をまとめ,論文執筆を進めた.ペアリングのみならず楕円曲線をベースとする暗号プロトコルにおいて,余因子消去は部分群所属判定と同様に,暗号の計算において扱われる要素が適切であることを保証する術であり,その効率化も重要な研究課題である. 本研究で扱うペアリングフレンドリ楕円曲線族は,ブロックチェーン技術など実社会で応用されるものも対象とし,最近提案された曲線に対する分析も追加で行った. 安全かつ効率的なペアリングの構成に寄与する曲線について,その具体的な定義式やパラメータの探索を効率的に行うため,数式処理システム・暗号計算ライブラリを活用した並列分散処理基盤の構築を行っている.具体的にプロトタイプとして,コンテナ技術としてDocker, コンテナオーケストレーションシステムとしてKubernetesを活用し,特に多数の複雑な代数演算の分散処理を行うフレームワークの構築を進めている.オーケストレーション技術を活用した,タスク処理・計算リソース配分の最適化が今後の課題となる. 本研究を通し,部分群所属判定と余因子消去について,理論的に新規かつより効率的な手法を提案することができた.また,これらのペアリング暗号効率化のためのパラメータを具体的に計算する手続きも与えた.ペアリングを構成するその他のパラメータ条件を加えて探索を行うことで,これまでにないより良いペアリングの構成が可能となる.
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