2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K17754
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
大橋 あすか 香川高等専門学校, 一般教育科(詫間キャンパス), 助教 (50782166)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テンソル和 / 任意の特異値 / 前処理行列CG法 / シフト付き逆Lanczos法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,テンソル和の任意の特異値計算のための「テンソル空間上のシフト付き逆Lanczos法」に対して,反復で必要なテンソル和に対する線形方程式を解くための「前処理付きCG法」の前処理行列を提案することである.テンソル和の行列サイズが大規模であるため,テンソル和を生成・保持して特異値計算することがメモリの観点から困難となる. テンソル和の最大・最小特異値を求めた先行研究では,テンソル和のテンソル積構造を利用して,テンソル(多次元配列)上の演算に変換することで,メモリの効率化・計算時間の高速化を達成した. 本研究では,テンソル和の任意の特異値を計算するために,テンソル和に対する「シフト付き逆Lanczos法」とその各反復で必要なテンソル和に対するシフト行列の線形方程式の解法を考える.単純に適用するとメモリの観点から計算困難であるため,先行研究の成果をもとに,テンソルを活用してメモリの効率化・高速化を図る.また,テンソル和の線形方程式の解法として一般的な前処理付きCG法を適用し,テンソルによる実装可能な前処理付き行列を提案する. 今年度の成果は,テンソル和を対称行列と類似した特性がある行列に対して効果が期待される前処理行列の提案である.テンソル和の固有値分解・Schur分解は,テンソル和を構成する小規模な行列の分解に対してテンソル和をとることで得られる.そこで,固有値分解・Schur分解で得られる行列から生成できる対角行列を前処理行列とすると,前処理行列を使わない場合に比べて線形方程式の収束を高速化できた.また対角行列を前処理行列とすることの利点は,テンソルによる実装が容易になることである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次年度の研究内容の一部として設定していた,各行列分解を用いた前処理行列について実装し,計算時間の高速化を確認できたため,初年度の計画以上に進展できたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず今年度の成果である,固有値分解・Schur分解に基づいた前処理行列について,どのような行列に対して効果があるかを検証する. そして,テンソル和が対称行列との類似性がない場合に有効な前処理行列の調査を始める.
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Causes of Carryover |
理由は大きく2つある.1つは,新型コロナウイルス感染症の影響により研究出張を取りやめたこと,もう1つは所属変更により,ワークステーションの購入を先送りにしたことである.
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