2022 Fiscal Year Research-status Report
ニューラルネットワークを用いた統計モデルの学習と音響信号処理への応用
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21K17769
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
丹治 寛樹 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(ポスト・ドクター) (40896255)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非負値行列因子分解 / 最適化アルゴリズム / 深層展開 / ニューラルネットワーク / Bregman divergence / 雑音除去 / 信号分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
音響信号処理において,非負値行列因子分解(NMF)は音響信号のパワースペクトログラムをモデル化するために広く用いられている.NMFは雑音除去や信号分離に広く応用されており,これらの応用では,音響信号のパワースペクトログラムにNMFの最適化アルゴリズムを適用することでパワースペクトログラムから有用な特徴を抽出する.申請者らは,昨年度までに,NMFにおける統計モデルおよび最適化アルゴリズムとして解釈可能なニューラルネットワークの設計に成功し,提案したニューラルネットワークを雑音除去と教師あり信号分離に適用した. 昨年度は,近年のNMFの研究で盛んに検討されてきた統計モデルから導出される距離規範を対象としていたが,今年度はNMFの初期の研究で用いられたBregman divergenceと呼ばれる距離規範を対象とし,Bregman divergenceとそれに基づくNMFの最適化アルゴリズムをニューラルネットワークを用いて表現することに成功した.さらに,雑音除去と教師あり信号分離の応用において,今年度新たに設計したニューラルネットワークの学習に成功した. NMFの初期の研究では,計算資源の不足から,Bregman divergenceに基づくNMFの振る舞いは十分に検討されていなかった.そのため,Bregman divergenceをニューラルネットワークにより表現し,実応用における振る舞いを検証した今年度の成果はNMFの研究において非常に有意義である. 昨年度から今年度までの成果はIEICE Trans. Fundamentalsに投稿し,再録された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の目標は,信号分離に提案法を適用し,研究成果を発表することであった.今年度は,当初の計画になかったBregman divergenceについての検討が追加されたものの,当初想定した時期に研究成果を発表できたことから,当該年度の目標は超過達成された.さらに,当初の計画通りに,今年度の終盤から多チャンネル信号分離への適用に着手した. しかし,多チャンネル信号分離では,複数のマイクロホンで観測された音響信号を分析する必要があるため,1チャンネル信号分離と比較して多くのメモリを消費する.この問題が足枷となり,当該年度終了時点でニューラルネットワークの学習方法を発見できていない.当初の計画では,3年目の後半で成果発表することを計画していたが,今年度の進捗状況からその見通しが不透明になった.そのため,やや遅れていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
提案法の多チャンネル信号分離への適用ために今後は,ニューラルネットワーク学習時のメモリ削減が主な課題となる.メモリ削減のためにニューラルネットワークを多チャンネル信号分離で直接学習するのではなく,1チャンネル信号分離や1チャンネル雑音除去などの代替タスクで学習することを検討する.
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Causes of Carryover |
当初は論文の掲載料を当該年度の予算から支出する予定だったが,査読によるページ数の増加と出版年度の都合で支出できなくなった.次年度使用額はシミュレーションを実施するための計算機の購入に充てる.
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