2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on multi-task adaptive digital filter for reduction of acoustic echo and environmental noise
Project/Area Number |
21K17773
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岩居 健太 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (30794507)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 適応フィルタ / 音響エコーキャンセラ / 雑音抑圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,音響エコーキャンセラのためのマルチタスク適応フィルタの基礎検討として,適応フィルタを用いた音響システムであるアクティブノイズコントロール (ANC) システムの検討を行った.本検討では,適応フィルタにおける最適解が実システムに適用可能か検討し,最適フィルタの特性を一部調整することで実システムでも適用可能ということを明らかにした.本検討内容は国内のディジタル信号処理に関するシンポジウム (第36回信号処理シンポジウム) および信号処理および情報処理に関する国際会議 (Asia Pasific Signal and Information Processing Association Annual Summit and COnference (APSIPA ASC) 2021) にて発表し,本検討内容に関して議論した.そして,関連研究に関する発表を聴講し,最新動向を調査した. 音響エコーキャンセラの検討に関しては,半導体不足の影響による測定機材の入手遅延に伴い,次年度の検討課題とせざるを得ない状況となった.そこで,最終年度に検討予定の内容である,非線形音響エコーキャンセラの検討を先に実施した. 本検討では,非線形音響エコーキャンセラへの適用を視野に入れた再帰型非線形フィルタの一般表現を検討した.本検討では,動電型スピーカの非線形歪み低減を目的とした非線形IIRフィルタの一般表現を検討した.本フィルタは動電型スピーカの非線形微分方程式に基づきフィルタ構造を導出しているため,フィルタ構造は非線形微分方程式の次数に依存する.ゆえに,フィルタ次数の拡張ができず,フィルタ特性の改善が困難であった.そこで,このフィルタの一般表現を導出し,フィルタ次数を任意に変更することが可能となった.本検討内容は,国際会議APSIPA ASC 2021にて発表し,有益な議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績概要に記載の通り,世界的な半導体不足により実験機材の入手が大幅に遅延し,初年度の検討内容を実施できなかった.代わりとして,現状の実験データから検討可能と判断した最終年度の検討内容 (非線形音響エコーキャンセラの検討) を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の最初に,マルチタスク適応フィルタの適用対象である拡声通話システムの音響特性を測定する.このとき,実際の拡声通話システムではなく,これを模擬した簡易システム (マイクロホン,スピーカのみを配置したシステム) により,音響特性を測定する.その後,雑音の種類,信号対雑音比 (SNR) を変化させ,音響エコーキャンセラとノイズサプレッサが相互に与える影響を,音響特性を用いた計算機シミュレーションにより実施する.なお,本検討では,ノイズサプレッサとして周波数領域ウィナーフィルタを用いるものとする. 上記の検討終了後,音響エコーキャンセラとノイズサプレッサの両機能を有するマルチタスク適応フィルタの導出に向け,音響エコー抑圧と雑音抑圧の同時最適化を定式化する.そして,定式化された最適化問題を解き,適応フィルタの更新規則を導出する.導出された更新規則に基づき,計算機シミュレーションによりマルチタスク適応フィルタの性能を評価する.
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Research Products
(4 results)