2021 Fiscal Year Research-status Report
変形機構を有するロボットの3Dプリンタによる自動設計手法の構築
Project/Area Number |
21K17828
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
山内 翔 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (60781200)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 3Dプリンタ / ロボット / 変形機構 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年ロボットの社会的な利用が進むことに伴い,ロボットに行わせる仕事の内容は複雑化し,活動範囲は徐々に拡大してきている.ロボットは通常の機械とは異なり,複雑ないくつものタスクをまとめて扱い,多様な状況に対処することを要求される.これに対し,それぞれのタスクに適した身体構造は異なる場合があるため,与えられたタスクすべてを最も効率よく達成する身体構造が一意に定まるとは限らない.そのため本来であれば,実行するタスクごとに最も適した身体構造で対処し,タスクが切り替わるごとにその身体構造を変化させることが望ましい.こうした「変形」,すなわち身体構造を状況に合わせて変化させ,全く異なる行動を取ることができるという性質は,実現可能であればロボットならではの強みであり,その利便性からロボットの応用可能な範囲を大幅に拡張すると考えられる. しかしこうした事例では未だ変形機構がごく単純なものに限られていたり,単純な動作のみに対応したものであったりと,限定的で非効率な実装になっている.そこで本研究では申請者らが構築してきた3Dプリンタを利用したロボットの自動設計手法を発展させ,ロボット設計を大幅に簡略化し,強度計算も単純化できる形に拡張する.これにより複雑化する変形機構を有するロボットであってもコンピュータによる自動設計を行い,実現可能とする. 本年度はロボットの自動設計手法を発展させ,変形ロボットに利用可能な形に拡張し,実験を通してその性能を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで申請者らはコミュニケーションロボットを対象としてロボットの自動設計システムを構築してきたが,複雑な変形ロボットの設計にも適用可能になるように,その計算を大幅に高速化した.これまでの申請者らのロボットの自動設計システムでは,アクチュエータやセンサなどロボットの構成要素(以降コンポーネントと呼ぶ)の3次元位置・姿勢を決定する最適化問題としてロボットの自動設計を行ってきた.この時,最適化計算には進化計算手法を用いている.また,最適化時の計算時間の多くは,進化計算手法における各個体の適応度計算に必要な幾何演算で消費されていた.進化計算における個体の適応度計算を並列化するのは容易であるため,並列計算可能な計算リソースを用意し,並列に適応度計算を実行することで実行速度の大幅な上昇が見込める. そこで本研究ではまずApache Sparkを利用し,Apache Sparkスタンドアローンクラスター上でロボットの自動設計システムを実行可能な形に拡張した.また複数個のコンポーネントを配置する際に互いに相関がほぼ無い場合も存在するため,ロボットの設計に合わせ,逐次配置する方式をとり,複雑なロボット構造にも対応可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
最終的な対象は変形ロボットであるが,まず高速化部分,及びコンポーネントの配置が複雑なロボットにおいて実際に行えるかの確認を行うため,キャラクター型ロボットでの配置を行った.ただし以前の実験よりコンポーネント数,及び制約条件を増やし7コンポーネントとした. 適応度は0を最大としているが,1000世代程度で適応度が0付近となり,コンポーネント配置を完了することができた.また計算時間についても18時間程度で計算を終えることができた. このように新たな分散・並列計算環境を構築し,これまでの申請者らのロボット自動設計システムを拡張し,より高い最適化能力で自動設計を行うことができた.これにより,今後はこれまでに行った変形機構の定式化を行ったものを最適化計算に反映させることが可能であると考えられ,変形機構を有するロボットの自動設計に取りかかる.
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Causes of Carryover |
機材の入荷・取り寄せ状況から,優先して解決すべき課題である最適化計算部分に注力し,機材の調達を次年度に実施すべきであると判断したため.購入予定の機材は変わっていないため,次年度に予定通り執行する.
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