2023 Fiscal Year Research-status Report
運動学習における運動野の層構造性が生み出す機能的役割の数理モデルによる解明
Project/Area Number |
21K17831
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
藤木 聡一朗 獨協医科大学, 医学部, 講師 (90770173)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大脳新皮質 / 層構造 / 数値シミュレーション / 小脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の大脳新皮質はどの領域も6層から成り、5層の神経細胞が皮質外への主な出力を担っている。運動野においては5層の出力が運動の実行を担っていると考えられてきたが、近年のげっ歯類の実験から、運動野は運動の実行ではなく運動の学習に必要な領域であることが示唆されている。また、動物の計測実験において、2/3層と5層の活動性の違いが行動と関連付けて解析されつつあるが、運動学習における層ごとの機能的役割は未だ不明確である。 本研究では、運動および脳活動に関する先行研究による神経生理学データを再現可能な大脳新皮質運動野を含む脳-身体の数理モデル(動力学シミュレーター) を構築を目指した。 前年度に引き続き、大脳ー小脳ループの数値シミュレータを構築し、異なる脳組織のニューロン間における情報伝達の動的な振る舞いを調べられるようにすることを目的とした。 前年度から構築を進めていた発火型ニューロンモデルを用いた小脳皮質微小回路モデルにおいて、神経発火の発火確率が周期的に時間変化する入力のある条件で、神経発火の発火確率が周期的に時間変化する目標入力に対し、顆粒細胞ープルキンエ細胞モデル間のシナプス係数を各シナプスに生じている局所的な神経発火に応じて変化させ、プルキンエ細胞モデルの活動を目標入力の位相に近づけられるかをシミュレートした。プルキンエ細胞モデルの活動を強く決定づける顆粒細胞モデルによって生じるシナプス後電流の総量の時間的変化を調べたところ、シナプス係数の変化に応じてシナプス後電流が目標入力の周期性と位相に近づくことを確認した。また、このシナプス後電流の変化に応じて、プルキンエ細胞モデルも同様の周期性と位相を持った発火活動を示すことを確認した。これらの成果について、学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に、研究成果について論文を投稿する予定であったが、それが未達成のため。
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Strategy for Future Research Activity |
小脳微小回路モデルの研究成果についてまとめ、論文として投稿を予定している。 また、大脳新皮質微小回路モデルの各階層への小脳モデルからの接続や入力を変化させることによって、運動にどのような影響を与えるのかシミュレーションによって調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度では論文の掲載料を計上していたが、計画より投稿が遅れているため、次年度使用額が生じた。次年度にこの金額を論文の掲載料等にあてる。
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Research Products
(1 results)