2021 Fiscal Year Research-status Report
がんゲノム医療を遺伝医療につなぐ:バリアント情報活用のためのプラットフォーム構築
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21K17854
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂井 美佳 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (50786522)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がんゲノム医療 / がん遺伝子パネル検査 / Germline Findings / 遺伝性腫瘍 / 遺伝カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、遺伝性疾患の絞り込みの実態を明らかにし、がん遺伝子パネル検査で検出された「腫瘍ゲノム情報から生殖細胞系列病的バリアントが疑われるバリアント(Presumed Germline Pathogenic Variant:PGPV)」のデータベースを構築することを目的とする。 令和3年度は、がん遺伝子パネル検査結果からバリアント情報を抽出するプログラムを用い、がん遺伝子パネル検査実施患者で検出されたPGPVの収集を開始した。 同時に、PGPV検出症例における遺伝カウンセリング実施状況についても調査した。がんゲノム医療拠点病院である国立病院機構四国がんセンターでは、2019年10月から2021年10月までの2年間でがん遺伝子パネル検査を受検した159例のうちPGPVが検出されたのは16例(10%)であった。16例全例に遺伝カウンセリングが推奨されたが、遺伝カウンセリングの受診率は7/16(43%)と低く、遺伝性疾患の確定診断のための検査(遺伝学的検査)を受検したのは7/16(43%)であった。PGPV検出16例のうち遺伝カウンセリングを受診しなかった患者では、その理由として、全身状態不良あるいは結果説明前の死亡、あるいは患者自身が遺伝情報を知ることに興味がないことが挙げられた。この結果から、PGPVが認められた患者の遺伝カウンセリング受診率を改善させるためには、がん遺伝子パネル検査の結果開示から遺伝カウンセリング受診までのアクセスの円滑化や患者への遺伝に関する教育が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、令和3年度で、がん遺伝子パネル検査結果からバリアント情報を抽出するプログラムを用いてがん遺伝子パネル検査で検出されたPGPVの収集を開始している。今後岡山大学病院のがん遺伝子パネル検査実施例のPGPVを収集し、合わせてデータベース化を行う予定である。 PGPV検出症例における遺伝カウンセリング実施状況について論文を作成し投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
四国がんセンターと岡山大学のがん遺伝子パネル検査例の臨床情報とPGPVのデータベース化を行う。データベース作成においては、匿名化されたバリアントリストと匿名化された臨床情報を、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」および「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供ベンダーにおける安全管理ガイドライン」を参考にしたファイル共有サービスを用いる予定である。
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Causes of Carryover |
がん遺伝子パネル検査のデータ収集のため人件費を計上していたが,今年度のデータ収集は研究代表者自身で行った。そのため人件費は0となった。また,学会参加費、旅費が不要であった。 使用計画としては、データ収集の人件費および資料整理補助としての謝金、データベース作成のための委託料、運営費として使用予定である。
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Research Products
(1 results)