2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K17858
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松本 拡高 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (90782045)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バイオインフォマティクス / 系統解析 / 進化解析 / 双曲幾何 / グラフ信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の申請段階から実施していた、系統樹情報を双曲空間へ埋め込むための理論的な提案に関し、2021年3月にBiology Methods and Protocolsより” Novel metric for hyperbolic phylogenetic tree embeddings”として論文を出版した。本年度は、この論文で提案した理論に基づき、配列情報を双曲空間へ埋め込み、双曲空間上におけるサポートベクターマシン(hSVM)などを用いて新たな系統解析手法の開発を目指す発展的な研究を行った。これら成果は、第10回生命医薬情報連合大会(IIBMP2021)のポスター発表などで議論し、それに基づき改良及び今後の方針を検討している。 また本年度より新たに、配列情報などから配列間の類似性グラフを構築し、グラフ信号処理の理論に基づいて系統解析を行う新たな系統解析技術の開発にも取り組んでいる。これまでの系統解析技術では基本的に系統樹を推定しその上で解析を行うtree-thinkingなアプローチが主流であったが、本研究ではnetwork-thinkingに基づくアプローチであり、これまで解析が困難であった対象にも適用可能な手法であると期待される。現在は、A型インフルエンザウイルスのスパイクタンパク質など、いくつかの実データを対象として開発手法を適用し、実データ解析における有効性などを比較・検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎となる理論研究は2021年3月時点で論文発表に至っており、本年度はそれら研究に基づき応用研究への発展を目指した。現在は、今年度に新たに開発したグラフ信号処理に基づく系統解析技術を含め、インフルエンザウイルスの解析を進めるなど、実際のデータを用いた応用研究も行っており、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に開発したグラフ信号処理に基づく系統解析技術の理論研究およびインフルエンザウイルスなどの実データ解析研究を一層推し進め、来年度中に論文としてまとめ、発表することを目指す。また、本研究で開発した理論を学会などでも発表・議論し、新たな共同研究などを含めさらなる応用研究へと展開することを目指す。
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Causes of Carryover |
年度末における新型コロナウイルス感染拡大の影響により、旅費等による予算使用の予定に若干の変更が余儀なくされた。使用予定であった一部の助成金を次年度に繰越し旅費等に使用することで、次年度の研究をより推進する。
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