2021 Fiscal Year Research-status Report
河川起源物質の輸送・循環を評価可能な河川ー沿岸海洋ー低次生態系結合モデルの開発
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21K17875
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
干場 康博 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (00774093)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数値海洋モデル / 沿岸域 / 海洋物質循環 / 淡水流入 / 非静力学海洋モデル / 低次生態系 / 土砂懸濁物 / マイクロプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
沿岸域の淡水、土砂懸濁物、低次生態系とマイクロプラスチックまでを複合的に扱う新モデル開発を行った。初年度として、淡水、土砂懸濁物と低次生態系部分を主に構築した。これを用いて、河川洪水流出(日本の若狭湾丹後海)や、氷河の解け水流出(グリーンランドのBowdoin フィヨルド)過程についての数値実験を実施した。前者では大量の土砂懸濁物が周囲の水の密度を変えるプロセス(懸濁物―物理相互作用)が、湾表層塩分や栄養塩濃度に与える影響を定量的に評価した。後者では海洋下層に供給された氷河融解水が沿岸をかき混ぜる過程を再現し、表層の基礎生産に与えるインパクトが議論可能となった。こちらは河川起源物質の輸送・循環に主眼を置いた本プロジェクトとは関係が薄いように思われるが、氷河解け水も河川水も陸域から淡水が海に流入するという意味では本質は同じである。新モデル開発には必要な数値実験であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル開発は、当初本年度に目標として掲げたマイクロプラスチック部分にまでは及ばなかった。若干の遅れはあるものの、他方で物理・土砂懸濁物と低次生態系部分についての成果は本年度に論文として出版され(Hoshiba et al., 2021, Scientific Reports, doi:10.1038/s41598-021-00633-8)、モデルパフォーマンスは一定の評価を得た。 本年度はモデル計算に使用されるスーパーコンピューターの移行時期にあたり、新たなコンピューターでのパフォーマンスを評価・検討する必要が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
低次生態系とマイクロプラスチック部分の結合を早期に行う。研究目的に応じて土砂懸濁物部分の改良(海底からの再懸濁過程など)や、低次生態系部分の改良(植物プランクトンの河川種、海洋種の区分けなど)も逐次行っていく。観測とシミュレーション結果の比較についてもデータが集まり次第実施し、合わせてモデルパフォーマンスを検証する。
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Causes of Carryover |
本年度(2021年度)に参加した国内、国際学会がコロナ禍でオンライン開催となり、旅費使用額が予定よりも少なくなったため。 次年度以降の論文の投稿数が予定よりも増加すると予想され、英文校閲料や掲載料としての使用を見込んでいる。
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Research Products
(3 results)