2021 Fiscal Year Research-status Report
気液両面からの微小液滴粒子に対するラジカル取り込み反応調査
Project/Area Number |
21K17878
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 七瀬 京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(RPD) (40736766)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HOxラジカル / エアロゾル / 不均一反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,大気化学で最も重要な化学種の一つであるHOx(OH,HO2,RO2)ラジカルを対象に,気相から微小液滴粒子であるエアロゾルへの取り込み観測と,エアロゾル内部で引き起こる化学反応メカニズムの解明を目指し,気相ラジカルとエアロゾル由来の液相ラジカルの同時検出手法の開発を行うことを目的として実験を行っている。予備実験として,プロペン酸化反応由来のRO2ラジカル(C3H6(OH)O2ラジカル)を生成し,本ラジカルがNaCl溶液から発生させたエアロゾル粒子に取り込まれる速度を測定する事に成功していた。本年度は,さらに,メタンやイソプレンをOHラジカルにより酸化させることでCH3O2ラジカルおよびC5H8(OH)O2ラジカルを生成し,これらのエアロゾル取込速度を測定した。さらに,発生させるエアロゾル粒子の濃度を変化させ,取込速度のエアロゾル表面積濃度依存性を観測することで,NaCl溶液由来のエアロゾル粒子への取込係数を決定することに成功した。その結果,RO2ラジカルの炭素鎖が長くなり,サイズが大きくなるにつれて,取込係数の値が大きくなることを確認した。これまで,RO2ラジカルのエアロゾルへの取込速度はほとんど計測されておらず,本成果は取込メカニズムやエアロゾル表面や内部で起こり得る化学現象を解明するための重要な情報であると考えられる。また,取込係数の傾向を調査したことにより,エアロゾル由来のラジカル検出実験の条件精査に繋がる結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,様々なRO2ラジカルのエアロゾル粒子への取込過程を観測することに成功した。さらに,上記の研究結果から,液相由来のラジカル検出実験に関する条件等を練ることが出来た。しかし,本年度は代表者の出産育児のため,数カ月研究が中断したため,液相由来のラジカル検出実験に関する装置開発が予定より遅れている。開発のために必要な物品等は購入済みであり,装置開発に関する予備調査は進めてあるため,“やや遅れている”と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに,OH,HO2そして様々なRO2ラジカルがエアロゾル粒子へ取り込まれる速度を気相ラジカルの検出から測定することに成功している。次年度は,まず蛍光物質を用いて液相およびエアロゾル粒子からの発光検出を目指し,そのための装置開発を実施する。その後,エアロゾルに取り込まれたラジカルを蛍光物質を用いて検出する事を試みる。また,それらの結果を用いて学会等で研究発表を行い,他の研究者とディスカッション行う予定である。
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Research Products
(4 results)