2023 Fiscal Year Research-status Report
鉄マンガン酸化物中のテルル同位体比を用いた古海洋環境の復元
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21K17881
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
深海 雄介 学習院大学, 理学部, 助教 (10754418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テルル / 同位体分別 / 鉄マンガン酸化物 / MC-ICP-MS / 古海洋環境 / 非質量依存同位体分別 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄マンガンクラストに記録された現在から過去にいたる海洋環境の情報をテルル安定同位体比の変動から復元することを目的とする。本年度は同位体比の測定に用いている分析手法についての再検討を進めた。本研究の同位体分析では分析時に起きる同位体分別の補正に濃縮同位体スパイクを用いた手法を用いているが、この手法では測定値の解析の前提として分析時の分別が同位体質量に依存することを仮定している。近年の同位体分析の高精度化に伴い、分析時あるいは分析前処理時の分別として質量に依存しない同位体分別の報告が増えつつあり、分析値の不確かさの原因になる可能性が指摘されてきている。そのため、天然試料の測定値として得られた同位体比の変動が分析時の変動によるものではないことを精密な解析により判断する必要がある。分析時の同位体比変動要因の一つとして挙げられる磁気同位体効果について室内実験を行い、その同位体比変動を高精度測定することで、分別の特徴を他の要因による変動から精密に区別できるかどうかを検討した。その結果、これまで奇数同位体を偶数同位体から分別させるという特徴を持つことが知られている磁気同位体効果による分別について、理論的に予測されていた奇数同位体間の分別の相対関係の特徴を実験的に確認することができた。本研究で着目するテルルは奇数同位体を2つ持つため、両者の偶数同位体に対する変動の相対関係を正確に測定することにより、より精密な同位体分析手法を構築できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定データを取得するための同位体分析手法についての見直しを行っているためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
分析手法の見直しと並行して、鉄マンガンクラスト表面から深さ方向に分割して採取した試料について年代方向の同位体比変動の高精度分析を行うための準備を進め、手法見直しの完了次第、測定データを取得していく予定である。
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Causes of Carryover |
計画当初に購入予定の実験器具について、共用の物品を使用して代用することが可能になったため、その差額が次年度使用額として生じた。 計画よりも測定や実験回数が増加した場合に備え、測定に必要な消耗品の予備の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)