2021 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of CO2 stress threshold of corals by real-time observation of photosynthesis and calcification
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21K17885
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 将史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 産総研特別研究員 (90775751)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サンゴ / 石灰化 / 共生 / 光合成 / 海洋酸性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
サンゴ礁生態系はCO2増加による危機に直面している。その生態系を支えるサンゴは刺胞動物だが、体内に共生している褐虫藻の光合成によってエネルギーの大半を得て、自らの骨格を形成(=石灰化)する特殊な生物である。したがって、共生関係である褐虫藻の光合成とサンゴの石灰化を指標として、CO2ストレスを評価する必要がある。光合成応答は、海水中の溶存酸素(DO)の変化から求めることができる。一方、石灰化のシグナルであるアルカリ度については、申請者が独自の計測システムを開発し、分スケールでのリアルタイム計測を可能にした[Yamamoto et al. 2020, 国内特許出願済]。そこで本研究では、①開発した計測システムをサンゴの実験系に適用し、今まで把握できなかった分スケールでの光合成及び石灰化応答を捉えることに世界で初めて挑戦し、②実験中のCO2濃度とリアルタイム計測から求めた光合成速度及び石灰化速度の関係からCO2ストレス閾値を明らかにすることを目的としている。 2021年度は、沖縄県瀬底島の琉球大学熱帯生物圏研究センターにおいて、上記①の光合成および石灰化のリアルタイム応答室内実験を実施した。実験にはウスエダミドリイシを用いた。その結果、さまざまな光条件下での光合成および石灰化の連続観測に成功した。また、実験の初期条件の海水中のCO2濃度を変化させることで、300ー1500uatmでの応答特性データを取得し、上記②の実験にも取り掛かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①光合成及び石灰化応答のリアルタイム観測と②それを基にしたCO2ストレス閾値の解明 の2点を目的としている。現在まで、①は達成し、②の実験の一部に取り掛かっている段階で、当初の予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中にサンゴを用いた応答実験を、昨年度に引き続き、琉球大学の熱帯生物圏研究センターで実施する予定である。
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Causes of Carryover |
成果発表のための論文投稿料および英文校閲費を2022年度予算に繰り越した。
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