2023 Fiscal Year Research-status Report
リグニン熱分解生成物を指標としたバイオマス燃焼発生源のリセプター解析手法の検討
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21K17896
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤井 佑介 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (90780099)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バイオマス燃焼 / OHラジカル / リグニン / 大気エアロゾル / マレーシア / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、納期の問題で前年度に入手できなかった紫外線照射装置のランプ(海外製)がようやく入手できたため、グアイアシル核リグニン熱分解生成物を対象としたOHラジカル暴露実験を開始した。OHラジカル暴露実験に先立ち、salicylic acidも含めた試料作製方法(石英ガラス板上に対象溶液を滴下 → 乾燥)についていくつかのパターンで検討した。その結果、salicylic acidは95 %程度、vanillinは50-70 %程度、vanillic acidは75 %程度の回収率データが得らる方法を見出した。OHラジカル暴露用の作製試料について、vanillin以外はある程度の再現性があると判断してOHラジカル暴露実験を行い、OHラジカル濃度推定、対象成分の反応速度定数及び大気寿命を求めた。vanillinについても参考としてOHラジカル暴露実験を実施した。vanillin自体の揮発の影響により反応速度定数を求めることはできなかったが、OHラジカル暴露の有無の違いによる有意差は認められた。野外観測に関して、マレーシアのクアラルンプールで乾季に大気観測を行った。また、前年度にバイオマス燃焼の影響が認められるベトナムのホーチミンにおける微小粒子状物質に含まれる化学成分データの解析結果をまとめた内容が国際誌に掲載された。その他、バイオマス燃焼の一つであり、且つマレーシアの大気でもその影響が主に乾季に認められる泥炭火災に関する文献レビューを行ってまとめた内容が国際誌にレビュー論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に本実験系で必須の紫外線照射ランプ(海外製)の納期が大幅に遅れた(今年度に持ち越された)ため、全体的に研究が遅れた。マレーシアの観測に関しても同様に前年度が(想定外のメンテナンス・修理があり)予定通りに進まなかったため、当初の予定より研究が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
・その他リグニン熱分解生成物に対するOHラジカル暴露実験を行う。 ・リグニン熱分解生成物に対するオゾン暴露実験を行う。 ・マレーシアのクアラルンプールで得られた大気試料の化学分析を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:2022年度に本実験系で必須の紫外線照射ランプ(海外製)の納期が大幅に遅れて2023年度に持ち越されたため、全体的に研究が遅れた。また、マレーシアの観測に関しても同様に2022年度が(想定外のメンテナンス・修理があり)予定通りに進まなかったため、当初の予定より研究が遅れ、2024年度使用額が生じた。 使用計画:次年度(2024年度)への繰越金は、化学分析に必要な溶媒や試料分析前処理に必要な消耗品費に充てる。また、学会発表に必要な参加費や旅費等にも使用する。
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