2023 Fiscal Year Research-status Report
植食者による食害圧の違いを考慮した外来植物/在来植物相互作用の総合的解明
Project/Area Number |
21K17916
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
坂田 ゆず 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (50779759)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外来植物 / 植食者 / 見かけの競争 / 植物ー昆虫相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気候によって外来植食車の分布やフェノロジーが異なる系を用いて、外来植物が植食者と送粉者を介して在来植物の繁殖に及ぼす間接的な影響を異なる気候条件下で評価することを目的としている。 2023度より研究を再開し、圃場実験により、外来植物が在来植物の食害や繁殖に対して及ぼす影響(訪花促進・抑制効果と成長抑制効果)を測定した。また、複数の植食性昆虫による食害実験を並行して行い、外来植物と在来植物の嗜好性の違いを評価した。複数地点における野外集団における調査により、季節ごとの植食者相および葉、花、種子の食害率を測定した。 外来のアワダチソウグンバイは温暖な気候条件下では高密度で発生し、冷涼な気候条件下では低密度で発生する。アワダチソウグンバイはセイタカアワダチソウから近接して生育する在来のキク科植物へ移動することで、在来のキク科植物をも食害する。 また、在来のバッタ類は、外来植物のセイタカアワダチソウやハルジオン、ヒメジオンと在来のノコンギクの両方を食害する。圃場における実験から、外来植物の生活史の違いによって、開花後の葉の形質や葉数が異なることで、外来植物が植食者を介して近隣の在来植物に与える影響が異なることが明らかになった。また、キク科だけでなく、イネ科の系とも比較することで、系によって植食者が外来植物よりも在来植物を食害するメカニズムが異なることが示された。さらに植物だけでなく植食者のフェノロジーの違いも考慮する必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に申請者の産前産後の休暇、育児休業の取得に伴う研究の中断により、実験を中断したため進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
植食者を介した外来植物と在来植物の相互作用について、今後は複数の環境の違いを評価していく予定である。気候条件に加えて、周囲の土地利用や歴史の違いについても評価できるように調査、解析をすすめていく予定である。また、これまでの成果を学会等の発表、論文の執筆をすすめていく。
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Causes of Carryover |
予定していた野外調査の一部が予定通り進まず、次年度に行うことになったため、次年度使用額が生じた。今後、野外調査を複数地点で行う予定であり、物品購入や旅費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)