2023 Fiscal Year Research-status Report
Application of input-output tables for environmental and socio-economic analysis of network traffic
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21K17920
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
稗貫 峻一 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 主任研究員 (20791544)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ネットワークトラフィック / 産業連関表 / GHG排出量 / エネルギー消費量 / 消費ベース / 情報技術 / 情報通信産業 / 投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会全体の通信量の全体像を体系的に把握するためには多くの課題が残されており、情報ネットワークシステムの拡大や増加する通信量と環境影響やエネルギー消費量の関係は明らかにされていない。こうした背景のもと、2023年度は情報ネットワークシステムの拡大によるGHG排出量をライフサイクルにわたり分析するために、産業連関表に対応した情報通信マトリックスを作成し、各最終需要が生じさせる情報通信量の推計と、情報通信量あたりのGHG排出量の推計を実施した。 情報通信マトリックスの作成では、産業連関表における家計、政府、固定資本形成などの最終需要と各産業間の固定通信量と移動通信量を総務省が作成した「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」などにより作成した。次に、作成した情報通信マトリックスと産業連関表を用いて最終需要あたりの情報通信量とGHG排出量を推計し分析した。 その結果、家計消費由来のGHG排出量780百万t CO2eq.のうち約3%が情報通信により生じていた。また、情報通信量に着目すると固定通信の35%、移動通信の24%が家計消費により間接的に生じており、このうちそれぞれの約半数がサービス産業への需要により生じていることが明らかになった。最後に、家計が直接間接的に利用した固定通信と移動通信によるライフサイクルGHG排出量をそれぞれの通信量で除すことで家計が利用する通信量原単位を試算した結果、固定通信約1,200t-CO2eq./Gbps、移動通信約1,700t-CO2eq./Gbpsとなり、移動通信は固定通信の1.4倍のGHG排出量が生じる可能性が示された。 これらの研究成果は、2024年8月に実施される「第33回日本エネルギー学会大会」で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究成果は、いくつかの強い前提条件をおいての試算結果となったが、情報通信分野の専門家との意見交換や、通信産業を対象とした定量的な情報の整備が進んだことで2022年度までの遅れを解消することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
情報通信分野の技術進捗は著しいため、引き続き関連する分野の専門家と議論しながら研究を進めていく予定である。また、2023年度までの研究は日本国内のみを対象としていたが、2024年度は国外までシステム境界を拡張した分析に取り組む予定である。その際、これまでよりも複雑かつ大規模な行列演算を実施する必要があるため、高性能PCを購入することを計画している。
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Causes of Carryover |
2023年度は家庭において一時的に育児と介護を担う時間が多くなり、予算を計上していた国内外の学会参加などを実施することができなかったため、やむを得ず2024年度まで延長した。
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Research Products
(2 results)