2023 Fiscal Year Annual Research Report
家庭用電池の排出実態と適正回収に関する動的フロー分析
Project/Area Number |
21K17921
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 順也 京都大学, 環境安全保健機構, 准教授 (20522444)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小形電池 / 一次電池 / 二次電池 / 排出実態調査 / 物質フロー分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
京都市が定める家庭系小形電池の正規排出ルートである資源回収拠点1ヶ所(左京エコまちステーション)、移動式回収拠点(2回)と、非正規回収ルートとして定期収集ごみであるプラスチックごみの選別施設において小形電池および小型家電などの小形電池内蔵製品の排出実態を調査した。その結果、二次電池電池内蔵製品の71-75%は消費者が電池を取り外せない製品となっていた。そのため、電池単体だけでなく、小型家電としての回収等の電池内蔵製品を回収するルートの構築が電池の回収促進にとって重要と示唆された。また、取り外し可能な電池内蔵製品のうち77-85%の製品で二次電池が取り外しされていなかったことから、電池内蔵製品内の電池は排出時に取り除かなければならないことへの消費者認知を広めることが重要と考えられた。 研究期間を通じた調査結果を踏まえた京都市の家庭系一次電池ならびに二次電池のフロー推定では、正規の回収ルート(市の常設・非常設の回収拠点)による回収率は一次電池23.4%、二次電池19.6%に留まっており、一次電池の76%、二次電池の78%が非正規ルートである燃やすごみに排出されていると推定された。二次電池は電池単体の排出で12.9%、電池内蔵製品として7.7%が回収されていた。また、京都市の家庭から年間に排出される一次電池のうち677万個(78.3%)が二次電池に代替可能と推定された。 本研究を通じて、二次電池だけでなく一次電池も回収率が低い実態が明らかとなった。このことから、近年発火・火災事故の報告によって問題となっているリチウムイオン電池に代表される二次電池に留まらず、古くから利用されてきた一次電池においても回収ルートの構築と適正排出を促す仕組み作りの重要性が示唆される。
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