2022 Fiscal Year Research-status Report
Integrated large mammal management for local development
Project/Area Number |
21K17924
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
寺田 佐恵子 玉川大学, リベラルアーツ学部, 講師 (20802292)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 獣害 / アフリカゾウ / 野生動物管理 / 地域開発 / 保護区 / タンザニア / 社会実装 / 象牙取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナ感染症の影響により延期してきた、タンザニアでのアフリカゾウの獣害対策の実施状況の調査対象地及び調査項目の検討のための予備調査を実施した。現地共同研究者との打合せの結果、共同研究機関のある地方都市からのアクセスの良さと予算の制約から、タンザニア北部地域を対象範囲候補として、保護区隣接地域を2か所訪れた。調査地は、アフリカゾウの個体数が多く、獣害の被害が大きいことが予想されるものの支援が十分ではないと思われる地域として、ムコマジ国立公園周辺のジぺ湖隣接地域と、ンゴロンゴロ自然保護区に隣接するアッパー・キテテ地域を選定した。ジぺ湖周辺地域では、湖と国立公園を行き来するゾウの通り道にあたり、ゾウと出会うリスクや農作物被害が深刻であること、その一方で水源を湖に頼っており、住み分けは困難であること、獣害対策技術についての知識が普及していないことが確認された。対照的に、アッパー・キテテ地域では、NGOによる支援が展開されており、養蜂箱フェンス、チリフェンス、ゾウが通るコリドーでゾウの遊動をモニタリングして地域住民の移動をサポートするコミュニティレンジャーの活動が展開されていた。しかし、財源はNGOに頼っており、活動地以外では被害対策が進んでいない可能性も伺われた。今後、北部地域全域あるいは北部地域東部について、関係機関やNGOへのインタビュー調査などにより、ゾウによる獣害の強度と支援活動の展開のギャップ、またコミュニティ活動の主要な財源と思われるNGOと、研究機関、地方自治体、中央政府による支援の重複の有無や連携体制の課題を明らかにしていきたい。また、象牙取引を含むアフリカゾウを取り巻く国際的な保全の議論を把握するため、ワシントン条約締約国会議に参加し、そこでの議論も含めて、保全と取引の関係について一般向け和文雑誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の蔓延による渡航規制や国内外での地方への移動の制限により、特にアフリカ諸国での活動が遅れている。研究代表者にとってタンザニアでの共同研究は本課題が初めての試みであるため、現地関係者との調整や調査地の確定には対面での打合せや事前調査が欠かせないものの、今年度までそれらを本格的に実施することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の蔓延により、全体期間における現地調査期間の縮小と予算上の制約を鑑み、アフリカゾウについては、タンザニアとガボンに対象国を絞る。タンザニアでは、北部州を対象として現地調査と関係機関へのアンケート調査を行う。ガボンについては、現地調査は共同研究者を中心とすることを想定し、可能であれば自身も現地調査を行う。日本のクマ管理については、兵庫県を中心に関係者連携が勧められている近畿北部を対象として、自治体・研究機関・地域住民などによる獣害対策を含む取り組みの体制・技術・予算の出所などについて、現地調査と関係者インタビューを行う。以上を基に、日本の先進地域とアフリカ農村部が抱える課題の共通点・違いを明らかにし、今後、日本による国際協力が可能な分野を検討し、アフリカ2カ国の関係者に提言する。
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Causes of Carryover |
今年度3月末まで海外での調査を実施したため、当該旅費の精算手続き及び支出が次年度予算から行われるため、次年度使用額が生じた。残額と翌年度請求予算は、本調査が先送りされてきたタンザニアでの調査で執行予定である。
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