2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K17931
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 里紗 金沢学院大学, 経済学部, 講師 (30830070)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エネルギー貧困 / 気候変動 / エネルギー政策 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本で夏季にエネルギー貧困に陥っている世帯の現状把握と,エネルギー脆弱性の観点から,どのような特徴をもつ世帯がエネルギー貧困に陥る可能性が高いのかについて明らかにすることを目的としている。R3年度は調査を行うための準備として,日本の先行研究および外国でのアンケート調査をもとにした先行研究をレビューすることにより,日本の夏季エネルギー貧困の測定方法の検討を行い,それに関する論文を執筆した。またR4年度以降に行う予定のアンケート調査のための質問票の作成を行った。 日本のエネルギー貧困に関する先行研究は主に所得に対するエネルギー支出の比率を割り出す「支出アプローチ」の手法を取るものが多いが,支出アプローチではエネルギーサービスに対する実際の支出を考慮することができても,潜在的なニーズを組み込むことができないため,エネルギー貧困世帯の存在を低く見積もる可能性がある。さらに,支出アプローチはある時点に表出しているエネルギー貧困比率をスナップショット的に切り取るものであるため,今後エネルギー貧困に陥る可能性がある脆弱性リスクを抱えた層に関する分析が十分にされない可能性がある。したがって,アンケート調査をもとにした「コンセンサス・アプローチ」を採用することが有効であるとの結論に至った。 そのため欧州でのコンセンサス・アプローチに基づく研究手法を検討し,質問票の作成を行った。先行研究では主に冬季の暖房を対象とした調査がなされているため,夏季を対象とした先行研究がほとんどなく,湿潤な日本の夏季を対象とする調査を行うためにエアコンの有無,使用の頻度などの質問項目の追加と,住居の構造や省エネ・断熱に関する基準が欧州諸国とは異なることから,関連する設問の検討が必要であった。この質問票を用いて,R4年度にwebを用いたプリテストを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度の研究計画は新型コロナウィルスの影響を考慮し,先行研究レビューおよび測定方法の検討,質問票の作成としていたため,進捗に影響はない。R4年度以降にwebを用いたプリテストの実施および本研究の対象である沖縄県での調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度に作成した質問票を用いてwebアンケート調査を行い,本調査の対象である沖縄県以外のエネルギー貧困状況の把握を行うとともに,質問事項の検討および修正を行う。その結果を学会で報告し,論文を執筆する予定である。また沖縄県での本調査に向けて調査対象・調査地区の選定を行い,郵送でのアンケート調査の実施に向けた準備を行う。
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Causes of Carryover |
ノートパソコンおよび書籍については計画通り購入したが,新型コロナウィルス感染拡大によって文献調査や対面での学会参加が行われなかったことにより旅費を使用することができず,次年度使用額が生じた。差額は次年度に行うwebアンケ―ト調査の費用として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)