2022 Fiscal Year Research-status Report
現代インドネシアにおけるイスラミック・ポピュリズム
Project/Area Number |
21K17935
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
茅根 由佳 筑波大学, 人文社会系, 助教 (70772804)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | インドネシア / イスラーム / イデオロギー / 宗教的少数派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代インドネシアにおけるイスラミック・ポピュリズムのイデオロギー、ネットワークと戦略を明らかにすることを目的としている。2022年度は、共著本(分担執筆)(英語1件、日本語1件)の発表のほか、単著本(日本語1件)の執筆を進めた。 共著本では、特にインドネシアの宗教的少数派であるシーア派ムスリムへの排斥運動について、東ジャワ州に位置するマドゥラ島の事例を取り上げ、分析をまとめた。また、日本語の分担執筆では、隣国マレーシアとの比較から、両国において共に宗教的少数派であるシーア派およびアフマディヤへの不寛容のメカニズムを比較、分析した。具体的には、インドネシアにおいては、主に社会勢力によって排斥運動が行われ、宗派対立として水平的紛争となる場合が多い。これに対し、マレーシアでは公的な宗教機関が主体となって取り締まりが行われるケースが多く、国家による垂直的抑圧の形態をとることを示した。以上の成果をもとに、単著本の執筆では、独立以降のイスラーム主義イデオロギーにおいて宗教的少数派への排斥志向が形成されることとなった要因を国内政治の動態から明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2年間、コロナ禍により現地渡航が困難となったため、研究成果としての単著本執筆が遅れていた。しかし2022年度の秋以降、現地調査を再開できたため、 不足していた一次資料の収集を集中的に行い、情報収集面における遅れを取り戻すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はインドネシアのイスラーム主義イデオロギーに関する単著本を仕上げ、2023年12月末までの出版に向けた確認作業に注力するとともに、次の成果発表に向け、2024年大統領選挙を前にしたポピュリズム運動の展開に関する情報収集を行いたい。
|
Causes of Carryover |
昨年度前半期までのコロナ禍により、計画していた現地調査が実行できなかったため。未使用額は論文執筆のために必要な資料購入に充てる予定である。
|
Research Products
(3 results)