2023 Fiscal Year Research-status Report
現代パキスタンにおけるイスラーム宗教政党の台頭と宗教学校の隆盛に関する研究
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21K17938
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 和憲 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任研究員 (50884699)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パキスタン / デーオバンド派 / ターリバーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パキスタンにおけるウラマー(イスラーム学者たち)を養成するマドラサ(宗教学校)と彼らが主導する宗教政党に焦点を当て、西洋近代教育を受けた政治家や官僚が大半を占める政府に対して、マドラサや宗教政党を運営するウラマーがどのように関与または干渉してきたのかを明らかにする。 2023年度は、パキスタンの国内問題として対応に追われているパキスタン・ターリバーン(TTP)に焦点を当てた。TTPとデーオバンド派の宗教指導者の間の関係性を明らかにするために、まずは直近のTTPの動向とTTPが発行する広報誌の分析を行った。アフガニスタンにおけるターリバーン暫定政権再発足以降のTTPの動向について、2023年9月日本南アジア学会第36回全国大会にて発表を行った。加えて、2023 年度環インド洋地域研究若手研究者集会にて、TTP広報誌におけるロヒンギャ問題について報告を実施した。またパキスタンにおける最新のテロ事件に関する動向及び解説を『宗教問題』誌に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査については今年度も現地で順調に集めることができ、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はパキスタン・ターリバーン運動(TTP)等によるテロ攻撃に対して、パキスタンにおけるウラマー(イスラーム学者たち)がどのような対応をとっているのかを着目する。特に2017年に1800人以上の宗教指導者が署名した反テロのファトワー(法学裁定)である「パキスタン・メッセージ」に関する口頭発表を行う。パキスタン国内で文献収集および聞き取り調査に加え、英語やウルドゥー語による研究成果の公開に努める。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き当地にて業務を行っているため、当初計画していた渡航費分額の次年度使用額が発生している。これらは書籍代または旅費として使用する。
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