2021 Fiscal Year Research-status Report
Succession and creation of new representations on dance in urban area of Ethiopia
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21K17939
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
相原 進 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定研究員 (30611694)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダンス / 技術習得 / キャリア形成 / 資料調査 / 動作分析 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2019年度までにエチオピア国立劇場の伝統音楽部門での調査において収集したダンサーの経歴にかんする調査データの分析をもとに研究を進展させた。新型コロナおよび内戦の激化により実渡航が叶わず、代替案としてオンラインでの聞き取りを実施した。聞き取りでは、伝統音楽部門に所属するダンサー、歌手、演奏家全員を対象として、幼少期のコミュニティにおけるダンス・音楽・祭礼・言語などにかんする経験を確認した上で、プロとしての経歴および、技術習得の方法とキャリア形成にかんする調査をおこなった。国立劇場に所属したことのない元プロダンサーやアマチュアダンサーへの聞き取りもおこない、経歴および技術習得にかんして、国立劇場のダンサーとの違いにも着目しながら資料を収集した。 エチオピアのダンスや音楽の歴史にかんする調査として、これまで面識のなかった国立劇場などを引退した元プロのダンサーおよび、年配の歌手・演奏家などを対象としてオンラインでの聞き取りをおこなった。事前調査として調査概要を説明した上で、経歴および政治体制の変化にともなうダンサー・歌手の置かれた状況や上演方針の変化などについて確認しておくことにより、実渡航による調査再開後の聞き取りおよび資料収集をスムーズに進められる体勢を整えることができた。これとあわせて国立劇場所属のダンサーなどの協力を得て、国立劇場が発行している年次報告書の収集を進め、現在発行が確認できている分にかんしてはすべて収集することができた。 また、ダンスの動作分析および、上演時における観客とのコミュニケーションの収録・分析を想定して、解析方法の精緻化および、機材購入とテスト運用をおこなった。動作分析にかんしては、エチオピアのダンスのモーションキャプチャデータをもとに、フーリエ解析により状況に応じた動作の演じ分けと、動作の周期性にかんする分析をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、新型コロナの流行に加え、エチオピア国内での内戦が激化したことにより渡航調査を実施できなかった。ダンスは実際に演じられる場での観察が重要である。過去のダンスにかんする調査においても、過去の演技の再現などをその場で演じてもらい、これを観察することによって得られる成果は大きい。代替案としてオンラインでの聞き取りを実施したものの、研究計画を設計した当初に想定していた成果を得られたとは言い難い。 歴史資料にかんする収集にかんしては、現地協力者に収集・複写・郵送を依頼せざるを得なかったことで、コストと時間の両面において多くの時間と労力を要してしまったものの、予定していた資料をすべて集め終わることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象国であるエチオピアへの渡航にかんしては、2022年5月の時点では相対的に他国より厳しい状況であるものの、着実に渡航の正常化に向かっていると考えられる。また、内戦も沈静化しており渡航が可能になりつつある。 現地調査では、オンラインでの聞き取り内容を対面で検証することでデータの精度を高める。さらに聞き取りのなかで、ダンスの実演およびモーションキャプチャデータの収録をおこなう予定である。歴史資料にかんしても、渡航前に翻訳と内容確認を済ませておき、元ダンサーなどへの聞き取りをつうじて、資料分析の精度を高めるとともに、資料に書かれていない出来事やダンス表現などにかんする調査をおこなう。
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Causes of Carryover |
2021年度は渡航による調査を実施できなかったため、旅費および現地調査での支出を想定していたものにかんしては未消化のままとなった。また、オンラインでの聞き取りおよび歴史資料の収集にかんしては、調査協力者の仕事の進め方や領収書の作成方法、成果物の受け渡し方法などをめぐって、遠隔調査の中でまったく想定していなかった事態が多々発生したことにより、結果的に科研費では決済できないコストが生じてしまった。2022年度は実渡航による調査を2022年8-9月および2023年2-3月頃に実施予定であり、渡航費および調査協力者への謝礼など、予定どおりに予算を消化できると考えられる。
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Research Products
(4 results)