2021 Fiscal Year Research-status Report
Energy policies for islands in sake of sustainable renewable energy enterprises owned by islanders
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21K17940
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 悠子 大阪大学, 人間科学研究科, 特任助教(常勤) (80832063)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 離島振興法 / ガソリン流通コスト支援事業 / ユニバーサルサービス制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である本年度は、計画どおり、離島振興法の再生可能エネルギー関連記述の分析、と先行研究の分析を行った。また、離島におけるこれまでのエネルギー政策の意図と現地での活用の状況と、 離島におけるエネルギー事業の運営の実態(技術者等の人材育成や等内外ステークホルダーとの連携等)を明らかにするために、予備調査として、長崎県対馬市および新潟県佐渡市での聞き取り調査を行った。 地域での離島における具体的なエネルギーの政策として、輸送部門及び電力部門の政策の効果について文献調査、現地調査を実施した。輸送部門の政策としては、離島ガソリン流通コスト支援事業等の効果を分析した。ガソリン流通コスト支援事業が支援額に比べて成果を上げない可能性があり、また既存の産業支援になっていることから新規再生可能エネルギー事業であるバイオディーゼル燃料の抑制策となりうるという仮説を構築した。電力部門では、ユニバーサルサービス制度、固定価格買取制度を取り上げ、ユニバーサルサービス制度は既存事業と再生可能エネルギー事業に市場の歪みをもたらしているかという課題を設定した。これらの結果は、国内・国際学会での発表を行った。 現地調査の結果、長崎県対馬市や佐渡市に太陽光発電事業者が、固定価格買取制度を利用している複数の地域企業が存在しており、人事・経営・社会関係資本等のエネルギー事業の運営に関する資料を収集することができた。対馬市における太陽光発電事業者は、綿密な商工会等の地域事業者ネットワークを利用し情報交換を行なっていた。佐渡市においては、エネルギー事業者の特定はできたが、聞き取り調査を行うことができなかったため、その運営の実態については、次年度以降調査を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年度は、当初の計画通り、離島振興法および離島の再エネ事業に関する先行研究の分析及び日本の離島地域での現地調査を実施した。新型コロナウィルスの蔓延状況及び、自治体からの来島自粛要請によって、来島できる島が限られる状況下であったが、一部地域、企業に予備調査としての聞き取り調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に収集した、離島地域の再生可能エネルギー政策、事業についての先行研究、資料等を活用し、持続している事業の「事業者は地域内外か/技術別の差異はあるか/地域振興・エネルギー政策の活用有無」等の特性を分析する。持続可能な再生可能エネルギー事業として定義した10年以上経営を続けている離島の再生可能エネルギー事業者へのインタビューを実施する。また、その結果を踏まえて、「どの政策を契機に、誰が事業の技術・経営管理を行なっているか、事業の発展を通じて地域内外の新たな社会関係資本構築・新事業につながったか」を聞き取り調査を行い、調査結果をエスノグラフィーによって記述する。また、本研究の比較対象であるデンマークの事例も収集する。1990年代から地域のエネルギー事業のマネジメントを行なっているの事業者について、「どの政策を契機に、誰が事業の技術・マネジメントを行なっているか、再エネ事業に必要なスキル・ノウハウを持った人材を島でどこまで活用・育成・定着させられているのか」についての情報を収集する。新型コロナウィルスの蔓延状況により、現地への渡航が難しい場合は、オンラインでのインタビューに切り替え、対応する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行に伴い、現地調査予定であった、海外渡航・国内の離島に入島自粛要請があり、現地調査の実施が困難であったため。次年度は、オンラインでの調査に切り替えながら、現地調査を実施する。
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