2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on enhancing global competitiveness of regions through the formation of tourism industry-based hot spring clusters
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21K17982
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
久保 隆行 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (70730357)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 温泉産業クラスター / 長期滞在化 / 高付加価値化 / 多様化 / 法制度改革 / 社会システム改革 / DX化 / 境界融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる本年度においては、別府市および海外調査対象地域のそれぞれにおける温泉産業クラスター形成にかかわる温泉関連産業の構造を主に文献調査によって把握することを試みた。別府市は、日本最大の総湧出量の別府温泉を有し、世界ではアメリカのイエローストーンに次いで2位の総湧出量を誇り、人が入浴できる温度の温泉湧出量としては世界一である。だが、別府市を筆頭とした日本の総湧出量上位の温泉都市の一人当たり市民所得は低く、人口も減少している。別府市の従業者数における宿泊業への特化係数は6.3ときわめて高い一方、その他の産業に際立った特化は見られない。別府市に賦与されている温泉資源を地域経済における宿泊業といった特定の業種以外では有効活用できていない実態を明らかとした。それに対して、ヨーロッパを中心とした海外の温泉都市においては、いずれも日本の温泉都市よりも少ない温泉湧出量にもかかわらず、温泉資源を宿泊・観光のみならず、医療、食品、美容、エネルギー、農業といった分野と関連づけており、温泉資源を核とした産業クラスターによって地域の経済力を高めている可能性が高いことを明らかとした。各温泉都市の調査の結果からは日本の温泉都市と比較して、①外客の長期滞在化、②サービスの高付加価値化、③サービスの多様化を実現してることを明らかとした。さらに、日本の温泉都市における温泉産業クラスター形成は、地域におけるクラスター構成要素の再編のみならず、国家的な法制度や社会システムの改革が加わることによって実現の可能性を見い出せることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による移動制限のため、現地調査を進めることができず、文献にて調査した内容を現地において確認し、補完する情報を収集することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のコロナ禍の推移にもよるが、研究計画書に示した、イギリス・バース市、フランス・ヴィシー郡、イタリア・アバノ市、ドイツ・バートクロツィンゲン市、アイスランド・グリンダヴィーク市、ニュージーランド・タウポ市の6つの温泉保有地域の現地調査を順次遂行していきたい。
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Causes of Carryover |
令和3年度は旅費を使用しておらず、次年度にて使用する予定である。物品費についてはパソコンを令和3年度に購入しなかったため、次年度に購入する予定である。
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Research Products
(5 results)