2023 Fiscal Year Research-status Report
The development of Rape Myth Acceptance Scale reflecting Japanese social-cultural situations and comprehensive study about the factor of the acceptance
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21K17986
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
横山 麻衣 立教大学, 社会学部, 助教 (60756089)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 強かん神話(レイプ神話) / ジェンダーベイスドバイオレンス / 規範 / 偏見 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果をまとめ、国際学会にて研究報告を行った。 第一に、日本の大学生を対象にした強かん神話に対する支持についての調査結果である。ドイツやアメリカでの調査を通じて開発されてきた最新の強かん神話尺度を和訳して質問紙調査調査を実施したところ、「わからない」とされた回答が多数を占め、特に日本の社会的文化的状況にそぐわない質問項目でその傾向が顕著となった。他方、「わからない」とされた回答率が低い質問項目では、歪度が大きくなってしまい、統計的分析が難しい。 第二に、インターネット掲示板等に見られる強かん神話を拾い上げるための計量テキスト分析結果である。特に被害者による被害経験の開示を、性的魅力の誇示と捉える傾向は日本特有のものである可能性がある。 以上の研究報告およびその準備のプロセスで、文化やエスニシティにおいて多様なバックグラウンドを持つ者(アメリカ、イタリア、オーストラリア、インド、マレーシア、スイス、エジプト等)からフィードバックを受けとることができ、日本の社会的文化的状況に即した強かん神話が存在し、普遍的な考え方ではないことを改めて確認することができた。 特に、被害を開示する女性に対する評価は、各文化圏の性別規範を反映していることがうかがえ、日本は被害者に沈黙を強いる社会的圧力が相対的に強いことが示唆された。また、心理学理論による強かん神話の説明に対する危機意識などは、他国の研究者や実践家とも共有することができ、被害者の落ち度であるといった強かん神話支持の要因を、個人の心理的機制に還元するのではない、社会学的アプローチの必要性についても、再確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の所属先変更に伴う事情により、2022年度に調査実施方法および対象を変更することとした。それゆえ、引き続きオンラインモニター調査会社の探索および実査の調整を試みた。しかしながら、調査内容の性質から、調査の遂行が可能だとする調査会社を見つけることが困難であった。海外では、同様の内容の調査がオンラインモニター調査会社を通じて行われている。日本では、強かん神話の研究蓄積が浅いが、そもそも調査遂行自体、困難であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の所属先の変更により、当初の計画に沿った実査の遂行可能性が高まったと思われる。それゆえ、調査倫理申請のための準備を進め、学生を対象にした質問紙調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度の所属先変更に伴う事情により、調査実施方法および対象を変更したものの、調査内容の性質から、調査の遂行が叶わなかったため。
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