2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of hybrid permanent magnet multipole for intense beam transportation
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21K17996
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
不破 康裕 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (00817356)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ビーム物理学 / 量子ビーム / 永久磁石 / 大強度ビーム / 加速器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、量子ビームの大強度化における課題の一つである空間電荷効果によるビーム品質低下を抑制するため、多重極磁場成分を発生可能なビーム集束用デバイスを開発している。多重極磁石による大強度ビームの効率的輸送を実証するため、多重極磁石の設計製作とその磁石を用いたビーム輸送実験を計画している。 初年度である令和3年度は、数値計算による非線形磁場印加状態での効率的なビーム輸送の検証及び製作を予定している磁石システムの基本設計の確立を目標とした。数値計算においては、ビームの空間対称性からエミッタンス増大に対し、最も効果的に作用すると予測された8極磁場成分を印加することとし、ビームエネルギー 3 MeV のビーム輸送系でエミッタンス増大抑制の検証を実施した。この数値計算の結果として、輸送系においてビーム径が大きくなる箇所で8極成分を印加することで、ビームのエミッタンス増大を低減可能であることが示された。このエミッタンス増大手法を効果的にビームラインに実装するためには、ビーム集束の主成分となる4極磁場と8極磁場を同一の磁石システムで重ね合わせて発生させることが効果的であることから、それを実現するための磁気回路の設計に着手した。設計においては、できるだけコンパクトな構成で磁場を生成するために永久磁石を使用することとした。また、磁石全体を外輪部と内輪部に分けた構造とし、それぞれの部分で異なる多重極磁場成分を効果的に発生することができる磁気回路を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において令和3年度に実施予定だった、数値計算による非線形磁場印加状態での効率的なビーム輸送の検証及び製作を予定している磁石システムの基本設計を完了したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度はまず、前年度に確立した磁気回路の基本設計に対して、磁場変調機構を実装するための機械的設計や発生磁場精度を検討し製作仕様を決定した後に磁石システムの製作を行う。製作された磁石に対してはホールプローブ等を使用して詳細な磁場分布を測定し、必要に応じて磁場分布を調整することで大強度ビーム輸送に必要な磁場の発生を実証する。令和5年度には、製作及び調整が完了した磁石をビームラインにインストールし8極磁場成分強度を変えてビーム特性を測定することで、8極成分がビームに与える影響を詳細に評価する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延及び市場での半導体不足の影響から、当初購入を計画していた部品調達に遅れが生じ、次年度使用額が発生した。次年度使用額は、当初購入を検討していた部品と相当する性能を持つ代替品の調達なども視野に入れて計画的に必要な物品を調達することで、研究計画遂行に必要な磁石システムの製作及びそれを使用した実験のための物品を購入する費用として使用する。
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